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月刊JGAニュース

社会に役立つ人間像と教育改革  

 ジェネリック医薬品数量シェア80%を目標とした医薬品産業に変革をもたらす2020年、もう一つ大きな改革がある。それは、戦後最大規模の教育改革である。これからの社会で必要な21世紀型の学力を身につけるために大学入試を筆頭に学校教育の在り方が変わるという。「何を学ぶか」だけではなく、「何ができるようになるのか」知識を活用する力を求める教育改革。学んだことの理解ではなく、知識を活用する力、学びに向かう力を評価し、「主体性」と「実践力」を備えた人材を育成するため「考える」教育を基本とする大学入試改革が始まる。つまり「知識偏重教育」からの脱却である。

 この背景の一つには、AI(人工知能)の進歩等、コンピューターの技術改革でこれまで人間にしかできないと言われていた仕事がロボット等の機械に代わられようとしているからである。オックスフォード大学の研究によれば、10~20年程度で約49%の職業が機械に代替される可能性があり、2011年にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は今存在しない職業に就くだろうと予測していることに衝撃を受けた。

 このように多くの職業がAIに取って代わると言われている時代に社会に求められる人材とは「言われたことをやる」人ではなく、「新しいことにチャレンジする」という人物像である。その力を養うためには、知識の暗記ばかりの埋め込み式教育ではなく、「答えなき解」を求める教育方式に変えることにある。

 たとえば高校の歴史教科書に収められている用語を今後半減し暗記中心の教育から「思考力」に代える教育転換を図るという。確かに歴史年代をゴロ合わせして暗記しても社会には役立たない。それより、歴史上の人物がどのような一生を終えたのか、愛国心に触れこれからのグローバル社会において自分を誇れる健全なアイデンティティーを誇れる人材教育の方が重要である。

 AIは非常に賢いがデータがなければ学習できない。AIと人間の大きな違いは、「発想「」感性「」他人とのかかわり・コミュニケーション力」である。どれもAIには叶えることができないが、人間にはできる。人間は、情感豊かで感性を持ち得た生き物だからである。

 一昔前は、企業も学歴重視であった。〇〇大学だから優秀だ、偉人だ、将来が約束されている等といった認識も今や遠い話になりつつある。今や人材は個々の生き方にも触れ、個性を重んじ様々な観点から選抜するようになってきた。

 これからの時代の「学歴」とは、自分自身が身に着けた能力や専門性、そして学びのプロセスにおいて育んできた「自分らしさ」であって、この「自分らしさ」の多様性が日本という国を大きく動かし、大きく支えていくものと確信している。

(K.M)

 

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