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8. ジェネリック医薬品を取巻く環境について

国民医療費の伸び、患者の負担増

高齢化や医療技術の進歩などによって国民医療費は年々増加していますが、一方で経済環境や財政環境は厳しい状況にあり、医療制度改革は大きな課題となっています。医療の質を落とすことなく医療の効率化を図り、国民皆保険制度を維持していくために、医療資源の効率化を通じて国民医療費の適正化を図ることが求められています。
我が国の国民医療費は平成25(2013)年度に40兆円を超え、そのうち約2割以上を薬剤費が占めています。ジェネリック医薬品の有効利用により薬剤費の軽減が可能です。

国民医療費・対国内総生産及び対国民所得比率の年次推移

平成25年度 国民医療費の概況(厚生労働省)

財務省では、国が目標としているジェネリック医薬品の数量シェア80%以上を達成した場合※1、
年間およそ1兆3,400億円の薬剤費が削減されると試算しています※2。

※1『後発医薬品に係る数量シェアの目標値については、2017年(平成29年)央に70%以上とするとともに、2018年度(平成30年度)から2020年度(平成32年度)末までの間のなるべく早い時期に80%以上とする。2017年央において、その時点の進捗評価を踏まえて、80%以上の目標の達成時期を具体的に決定する。』(経済財政運営と改革の基本方針2015)
※2参考:経済財政諮問会議資料(内閣府)

ジェネリック医薬品使用促進の動き

平成14(2002)年4月以降、ジェネリック医薬品の使用促進につながる診療報酬・調剤報酬改定や処方せん様式の変更などが行われてきていますが、ジェネリック医薬品の使用促進に関して政府方針としての位置づけが具体的目標をもって明確化されたのは平成19(2007)年です。

平成19(2007)年6月

経済財政改革の基本方針2007において「平成24(2012)年度までにすべての医薬品に対するジェネリック医薬品のシェア(数量ベース)を30%以上に」という数値目標を策定しました。

平成19(2007)年10月

厚生労働省はジェネリック医薬品に関する安定供給・品質確保・情報提供等の充実・向上と使用促進を図るための「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」を策定しました。

平成20(2008)年度診療報酬・調剤報酬改定
  1. 「後発医薬品調剤体制加算」:保険薬局のジェネリック医薬品調剤率(処方せん枚数)30%以上に加算。
  2. 「処方せん様式の変更」:「変更可能の場合に署名」から「変更不可の場合に署名」に変更。
  3. 「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」の改正:保険薬局や保険薬剤師にジェネリック医薬品の調剤に必要な体制確保や患者さんに対する説明義務などを新しく規定。
平成22(2010)年度診療報酬、調剤報酬改定
  1. 後発医薬品調剤体制加算の段階的評価:処方せん枚数割合から後発医薬品の数量ベース割合に変更、段階的に点数を設定(20%以上6点、25%以上13点、30%以上 17点)。
  2. 医療機関の後発医薬品使用体制加算を新設(採用割合20%以上)。
  3. 含量違い、類似別剤型への変更調剤(10mg1錠 → 5mg2錠、カプセル→錠)
  4. 「保険医療機関及び保険医療養担当規則等」の改正:保険医である医師や歯科医師に患者さんがジェネリック医薬品を選択しやすいように努めることを規定。
平成24(2012)年度診療報酬、調剤報酬改定
  1. 後発医薬品調剤体制加算の段階的評価の見直し(22%以上5点、30%以上15点、35%以上19点)
  2. 薬剤情報提供文書を活用した後発医薬品の情報提供への評価
  3. 医療機関の後発医薬品使用体制加算の見直し(20%以上28点、30%以上35点)
  4. 一般名処方の推進
  5. 処方せん様式の変更(薬剤ごとに変更可否を明示)
平成25(2013)年4月

「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」を策定
厚生労働省はジェネリック医薬品のシェアを平成30年度までに60%以上(置き換え可能な市場における割合)にすることを目標として「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」を策定しました。このロードマップには(1)さらなる使用促進の必要性(2)新たな目標の設定とモニタリングの強化(3)国、企業、保険者等の具体的な取り組みおよび課題等について明記されています。

平成26(2014)年度診療報酬、調剤報酬改定
  1. 後発医薬品調剤体制加算の段階的評価の見直し(ロードマップで示された新指標に基づく計算方式 55%以上18点、65%以上22点)
  2. 調剤薬局において一般名処方せんの際に後発医薬品を調剤しなかった場合は、診療報酬明細書の摘要欄にその理由を記載しなければならないことを規定
  3. DPC病院の機能評価係係数2に後発医薬品指数を新設
平成27(2015)年6月

平成27年6月30日、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太方針)が経済財政諮問会議での答申を経て、閣議決定されました。この中でジェネリック医薬品のシェアを「2017年(平成29年)央に70%以上とするとともに、2018年度(平成30年度)から2020年度(平成32年度)末までの間のなるべく早い時期に80%以上とする。」とされています。

平成28(2016)年4月

平成28(2016)年度診療報酬、調剤報酬改定

  1. 後発医薬品調剤体制加算の段階的評価の見直し(65%以上18点、75%以上22点)
  2. 後発医薬品使用体制加算の段階的評価の見直し(新指標に基づく計算方式に変更、70%以上42点、60%以上35点、50%以上28点)
  3. 院内処方を行う診療所で後発医薬品を推進している場合の評価として、外来後発医薬品 使用体制加算を新設(60%以上3点、70%以上4点)
  4. DPC病院の機能評価係数2の後発医薬品指数の上限を引き上げ(60%→70%)
  5. 一般名処方のさらなる推進(1品目でも一般名処方された医薬品が含まれている場合2点、後発医薬品が存在する全ての医薬品が一般名処方されている場合3点)
  6. 処方時に後発医薬品の銘柄を記載した上で変更不可とする場合は、処方せんにその理由を記載

拡大するジェネリック医薬品市場

日本でのジェネリック医薬品の使用率は年々伸びていますが、平成26(2014)年度で52%※と世界の使用率に比べると、まだ低い状況にあります。国は「経済財政運営と改革の基本方針2015」において、ジェネリック医薬品のシェアを80%以上とする目標を掲げており、今後、ジェネリック医薬品の使用はさらに進み、シェアが拡大していくことが予想されます。ジェネリック医薬品の世界市場(2014年・数量ベース)は、アメリカ92%、ドイツ83%、イギリス73%、フランス64%となっています。

※2014年4月~2015年3月(日本ジェネリック製薬協会資料)

出典:平成26年度ロードマップ検証検討事業報告書概要(厚生労働省)

注)上記「各国の後発医薬品のシェア」は、2013年4月~2014年3月の期間で調査された数値であり日本のシェアは2014年49%となっています。一方、文中の使用率は、2014年52%と記載していますが、この数値は2014年4月~2015年3月のシェア分析を日本ジェネリック製薬協会が2015年7月10日に公表した最新データーに基づくものです。