編集後記
時代の変革期には大きな出来事や、それに関わった「主役」がいる。幕末から明治維新にかけて大きなうねりとなり、佐幕派と尊王攘夷派のそれぞれの思いで歴史を作っていった。
その時代の小説を数多く書いた司馬遼太郎は、綿密な取材活動により、まるでその時代を見てきたがごとくリアルに表現していて読者を引き付ける。
この時代は尊王攘夷派の主役が多く活躍しており、特に長州藩士の多くが名を残している。その中でも特に過激思想が強く、討幕により世の中を変えようとした人物が吉田松陰であり、木戸孝允(桂小五郎)、高杉晋作、久坂玄瑞などその人達である。
そのうねりの中で起きた事件が 1864 年 7 月の池田屋事件であり、ご存知の通り討幕派の長州・土佐藩士が池田屋に潜伏していたところを治安維持組織の新選組に襲撃された事件である。そしてその翌月1864 年 8 月に禁門の変(蛤御門の変)が起き敗北を喫した長州藩は朝敵とされ、1866 年土佐脱藩浪士 坂本龍馬の仲介により薩摩の西郷隆盛と長州の木戸孝允とが盟約を結び、討幕に突き進み 1867 年の大政奉還を成し遂げる。
さて、医療用医薬品業界にも大きなうねりが押し寄せている。平成 30 年 9 月 25 日に厚生労働省から示された「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」(以下 GL)である。目的は医療用医薬品の販売情報提供活動において行う広告などの行為を適正化することにより保健衛生上の向上を図ることにある。
本 GL では医療関係者に示すデータは当然ながら客観的評価に基づくものでなければならず、いままで何気なく MR が口頭で発していたオフラベル情報等は厳しく制限され、仮に MR からそのような情報提供を受けた医療関係者は厚労省へ情報提供する仕組みも更に強化された。
そして何より、経営陣は販売情報提供に関する業務上の行動に対して責任負うことが明記された点はこの GL の実効性を担保する上でより一層の重みを増す。
私は約 40 年間この業界に携わってきたが、添付販売の禁止、医療関係者への飲食接待の制限、最近では 2019 年 1 月の IFPMA コード改定に伴い「カレンダー」「香典」等の提供の禁止など新しい時代の流れを肌で感じている。
それぞれの時代の変化を見てきた過去の主役達は今なにを思うだろう。
H・O