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トピックス

ポスト80%時代への備えは万全か?

Monthly ミクス編集部
特報チームデスク 望月 英梨

 ジェネリック大手3社の決算が2019年3月期決算で1000億円を突破した。後発品80%目標を追い風に、右肩上がりの成長を遂げる。政府の策定する経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2015で、後発品80%目標が明示されて以降、巨額の設備投資を通じて、増産体制を整え、安定供給に努めてきた。生産体制も15年度の576億錠から17年度には692億錠を確保するに至った。後発品の数量シェアが74.7 %(18年10 ~ 12月)まで伸長した。
 富士経済の調査によると、2017年の後発品市場は前年比7.8%増の9627億円。22年には1兆2449億円まで膨らむと予測されている。IMSの調査によると、2018年度(18年4月~ 19年3月、会計年度)の国内医療用医薬品市場は10兆3293億円(薬価ベース)で、今後も横ばいであると予測されている。こうしたなかで、医薬品市場におけるジェネリックメーカーの位置づけが大きく変わることも予想される。
 これまで、ジェネリックメーカーを取り巻く課題は、品質や安定供給が主だった。しかし、ポスト80%時代はすなわち、生活習慣病市場などの市場の責任をジェネリックメーカーが持つことを意味する。日医工の抗菌薬・セファゾリンは病院市場をはじめ、大きなシェアを占めるなかで、供給不足に陥った。この問題は、原薬の問題だけに捉えられがちだが、シェア拡大に伴って、市場実勢価格が下落するなかで、いかに安定供給を確保するか。ポスト80%時代の課題を突き付けたとも見て取れる。ポスト80%時代の主役にジェネリックメーカーが躍り出るのであれば、安定供給は当然の責務だ。この流れが実は、業界の再編を引き起こす序章となる可能性が高い。


◎優勝劣敗の競争社会にどう立ち向かうか


 2018年度薬価制度抜本改革では、後発品の置き換えが80%以上進んでいる長期収載品(G1)品目の“撤退ルール”が盛り込まれた。ジェネリックメーカーにとっては先発の市場を譲り受けることに加えて、薬価上のインセンティブがあるとして、当初は注目を集めたが、4月に詳細が示されて以降、慎重な姿勢を示す企業が増えた。
 G1撤退ルールは、後発品上市後5年後のZ2適用期間(5年間)を経て、6年間をかけて後発品と価格が揃えられたG1品目を有する先発メーカーが市場撤退を自らの意思で選択できるというもの。ルールでは、増産対応企業の条件として、「増産意向を示した製造販売業者であって、合算して後発品生産量が全後発品の50%を超える単一又は複数の製造販売業者」という条件が付いた。
 また、先発メーカーが社内に保有する安全性・有効性データの引き継ぎについて、「社内資料の引き継ぎ等にかかわる協議を行う」と示すに止まった。医療現場からは、後発品の市場浸透が進んでいるにもかかわらず、先発メーカーのMRやコールセンターを通じた情報提供が中心となっているとの指摘も少なくない。ローコストオペレーションが求められるジェネリックビジネスではこうした問題は重くのしかかる。撤退ルールの導入で、課題が浮き彫りになった感は否めないが、この課題は後発品80%を見据えたときに、ジェネリックメーカーが避けて通れない課題でもある。さらに、地域では地域フォーミュラリの導入も進む。地域への情報提供も重要になるなかで、ジェネリックメーカーには規模が求められる可能性も高い。
 日本ジェネリック製薬協会が2017年に策定した「ジェネリック医薬品産業ビジョン」では、環境変化のスピードが増し、「ますます不確実な時代に突入する」と指摘した。臨床試験を伴う研究開発受託型企業や、製造受託型企業など新たな姿を打ち出し、自社の強みや役割を明確化し、きたるべきジェネリック医薬品マーケットの成熟期に備えるよう促した。強みを活かした各社がアライアンスを通じて手を組む時代も近い。優勝劣敗とも呼べる競争社会が幕を開ける。

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