EN

月刊JGAニュース

伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社  

 GE薬協の皆様、賛助会員の伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社です。
 弊社は伊藤忠商事株式会社の中核事業会社で、医薬品・化学品に特化した専門商社です。7回目の“賛助会員から”への寄稿となり、改めまして弊社の取り組みを紹介させて頂きたいと思います。弊社は2000年に医薬事業部を発足し、生活習慣病等のジェネリック医薬品(以下GE)の原薬(API)の輸入を中心に活動を始めました。そして、2008年頃から抗生物質、抗がん剤専門チームを立ち上げ、開発を積極的に考える製薬会社様と一緒に事業を進めて参りました。
 昨今のGE市場を見渡すと、発足時から内的・外的環境が変わり、API及び製剤のグローバル調達時の課題を感じております。中国東部の江蘇省での爆発事故に端を発する世界的な原料の調達不足は、安定供給の上で適切な供給者管理の必要性を再認識させました。そして、日本が求めるハイスペックな品質、GMP管理及び異物除去に対して海外製造所からの確固たる理解を得て継続的に規格を満たしていく事は簡単ではなくなってきました。これらに対し、弊社は海外サプライヤーへ日本の要望事項や規制を分かるまで根気強く説き、言語を超えたカルチャーの違いを埋めて安定供給を行うことが役割と考え、日々努めております。
 また、弊社は海外輸出事業を進めております。悲願であった世界最大の医薬品市場である米国への進出は、複雑な事情・試行錯誤を経てFDA承認を受け、販売に至りました。他先進国、中国、東南アジアへも積極果敢に取り組んでおります。
 更に国内市場に於いても長年開発を行ってきた新薬が昨年上市され順調に販売を伸ばしているところです。
 昨今、CAR-T療法であるキムリアが製造販売承認を受け、薬価基準上過去最高薬価がつき話題となり、バイオ医薬品は薬価が高すぎることが課題となっているものの、低分子薬では治療方法がなかった医療領域で患者さんに希望の光を与え、アンメットニーズ薬剤として既に1兆円の市場に拡大しました。しかし大半は外資製薬会社の製品で、医薬品業界で輸入超の主な原因になっています。総薬剤費の膨張を抑える為、GEと同様にバイオシミラー(BS)が認知され使用されるべきと判断し、弊社はBS開発への参入を決めました。バイオ医薬品開発の課題である製造コストを抑える為、弊社のジェネリックAPI開発で得た経験を活かし、細胞の選定から、生産性の改良、ドラッグサブスタンスの製造、非臨床試験まで手掛け、BS開発を進めております。BS市場の課題として、AG(オーソライズドジェネリック)に相当するバイオセイムの出現、BSの認知度が足りないことや、高額療養費制度の対象の先発品に対してBS(先発薬価の70%)は高額療養費制度の対象にならないケースが多々あることが挙げられます。これらの課題に対して、今後も引き続き啓発活動と市販後データ集積が必要であり、またGEの拡大同様に国の積極的関与が必要と考えております。GE薬協のお力を借り、BS普及への道筋をつけるべく今後も活動していければと思っております。
 最後に、弊社では新たに再生医療分野での取り組みを広げる為、アカデミア領域との連携をスタートさせました。アカデミアでは日進月歩で有望なシーズが研究、見出されております。有望なシーズの実用化を推進し、国内外に広げアンメットニーズに応える為、再生医療の実現化に向けサポート出来ればと考えております。
 プライマリケア医薬品から抗生物質、抗がん剤、製剤輸出、新薬開発、バイオ医薬品、そして再生医療までを担うサプライチェーンの一員として、皆様と一緒になって日本の医薬品産業の発展に貢献してゆきたいと考えます。変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。

 

PDFでご覧になる方はこちら