新型コロナウイルス感染症が中間年改定の議論にも影響
報道局日刊・PJ編集部 大塚 達也
世界各地で猛威を奮う新型コロナウイルス感染症が、社会の広範囲に渡って影響を及ぼしている。2021年度に導入開始予定の中間年改定に関する議論にも、その火の粉が降りかかっている。
4月8日に開催された中医協総会では、中間年改定に向け、まず薬価調査の実施方法を薬価専門部会で議論する方針が示され、診療側も支払い側ともに同意した。その後、厚生労働省は、毎年薬価調査・毎年薬価改定が閣議決定された方針であることを示し、当初の予定通り実施する方向で準備を進めていくと説明した。
これに対し、支払い側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みて中間年改定実施の有無について議論を行う必要があると指摘した。診療側からも同様に要望が出された。
松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は中間年改定が決まった3年以上前と、現在では前提となる状況が全く異なると訴えた。新型コロナウイルス感染症関連への対応で病院の負担が増加し、経営にも甚大な影響が出ていることを踏まえ、予定通りに中間年改定を実施するかどうか、改めて薬価専門部会で検討するよう求めた。同じ診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会常任理事)も新型コロナウイルス感染症による影響が大きいことに触れ、実施の可能性を含めて薬価専門部会で議論することに賛成した。有澤氏はその上で、その薬価専門部会において議論を尽くしていくべきとした。
今後、当然ながら、基本的には政府の決定した方針に沿って実施に向け議論を進めていくことになる。ただ、新型コロナウイルス感染症による影響が不透明な中、確実に実施するとは誰も断言しにくいだろう。言うまでもなく有事の中で安定供給に努めている医薬品卸にも薬価調査は大きな負担としてのしかかる。
とはいえ、かりに中間年改定の実施を見送ったとして、他に財源をどこで確保するのか。また、来年度以降に新型コロナウイルス感染症が終息を迎えていなかったら、21年度薬価改定まで見送ることになるのか。他にも様々な問題をクリアしなければ、簡単に見送ることはできない。なんとも難しい問いを突きつけられてしまった。