ジェネリック医薬品の安定供給に関する当協会の取り組み
安定供給責任者会議
安定供給責任者会議の設置について
ジェネリック医薬品については、その数量シェアが80%を超え90%に迫るところまできており、患者・国民の医療を支えるためには必要不可欠なものです。
ジェネリック医薬品の安定供給に関し、これまでもジェネリック製薬企業各社は、医療現場でのジェネリック医薬品需要増や他社の要因で供給不足となった品目をカバーするための増産に取り組んできました。しかしながら、個別企業による他社の生産中止などに関する情報収集はもとより、医薬品成分全体で見たときの安定供給に関する俯瞰的な状況を把握することは一般的に困難であり、また、同時多発的に複数の医薬品成分で安定供給不安事象が生じた際には、何を優先的にどの程度の量を代替生産すればよいのか、手探りの状態にありました。
また、政府は医療用医薬品の供給体制管理責任者を製薬企業に設置することを法令で定めるなど、製薬企業による医薬品の安定供給責任を明確化するとともに、供給不安が生じた際の行政権限を明確化しました。
このような状況を踏まえ、GE薬協としては、公正取引の観点に十分配慮しつつ、常日頃から安定供給に関する各社の責任者間のネットワークを構築するとともに、供給不安事象が起こった際の情報を適時適切に共有する仕組みとして「安定供給責任者会議」を設置し、令和7年3月に第1回会議を開催いたしました。
【設置目的】
安定供給責任者会議は、下記①~④などの取り組みを実践することにより、将来的な供給不安発生の予防や、供給不安懸念事象の早期解決に役立てることを目指し活動することを目的とする。
① 会員企業の安定供給責任者をGE薬協に登録し、常時把握すること
② 後発医薬品の供給停止・限定出荷、その他の供給不安懸念事項について、GE薬協が一元的に情報を集約し、会員各社に共有すること
③ 個別事象の早期正常化を図るための会員企業からの相談に応じるとともに、必要な支援を行うこと
④ これまで生じた供給不安の原因や対応方策を分析するとともに、会員各社における好事例を共有すること
事案発生時の届出と共有(対応スキーム)について
GE薬協として、2025年3月に安定供給責任者会議を設置するにあたり、「安定供給責任者会議設置規定及び安定供給支援に関する実施規定」 を定め、その中で事案発生時の届出と共有について(対応スキーム)を以下のように定めました。
【対応スキーム】
① 会員企業において事案が発生した場合、当該企業の安定供給管理責任者は、「当該事案に係る品目の名称」、「供給不足数量」、及び 「供給停止/限定出荷の開始時期及び復旧見込み時期」(以下「届出事項※1」 という。)を事務局に届け出る。
なお、届出を必要とする事案の範囲は、厚生労働省への報告対象※2 に準じるとともに、当該届出は、当該企業が供給不安に係る厚生労働省への報告を行った後、遅滞なく行う。
② ①に係る届出があった場合、当該届出企業が希望しない場合を除き、事務局は速やかに届出に係る成分と同一の後発医薬品を製造販売する会員企業(以下 「関係企業」 という。)に対し当該届出事項を共有するとともに、当該届出企業の安定供給責任者に対し、共有した関係企業名を連絡する。
③ ②の規定に基づき、当該届出企業と関係企業の間とで届出事項を共有する場合、関係企業は得られた情報をもとに、「増産対応の可否」 並びに 「増産可能な場合の数量及び増産時期」 を検討の上、当該届出企業にその検討結果を連絡する。この場合、当該連絡は安定供給責任者の間で直接行うこととする。
④ ③の規程に基づき、当該届出企業は、関係企業と供給調整を行った結果(増産対応による供給数量の解消見込み等)を事務局に報告する。さらに、事務局は、当該事案の供給不足の解消見込みを関連企業にフィードバックする。
⑤ 供給事案の復旧見込み時期に変更が生じた場合、当該届出企業は事務局に新たな復旧見込み時期を報告する。また、供給事案が復旧した場合も事務局にその旨報告する。
※1 当該企業の判断により、保有在庫数又は復旧のための対応方策に関する情報についても追記することができる。
※2 「供給不安報告※3」 及び 「供給状況報告※4」 をいう。
※3 製造販売業者が把握した供給不足が生じるおそれがある場合、当該製造販売業者は早期に 「供給不安報告」 を行い、必要に応じて関係学会や代替薬の製造販売業者との調整等を実施し、供給不足の未然防止を図る。
※4 限定出荷や供給停止等の供給不足が発生した場合、当該製造販売業者は速やかに 「供給状況報告」 を行い、その情報は厚生労働省ウェブサイトにおいて一元的に公表され、医療関係者への迅速な情報提供が図られるとともに、「供給不安報告」 と同様の調整等を行い供給不足の早期解消を目指す。
医薬品供給状況の分類分析結果について
医薬品の供給状況について、2025年3月までは日本製薬団体連合会(日薬連)が毎月調査を行い、一覧や集計結果を公表していましたが、2025年4月以降は厚生労働省 「医薬品供給状況報告」 に一本化されています。
しかしながら、成分単位や成分規格単位での供給状況が分類されていないなど、供給不安の全体像や今後の見通し等の情報を整理できていなかったことから、GE薬協として、2025年2月に医薬品供給状況分類分析プロジェクト(以下、「分類分析PJ」 という)を設置し、日薬連 「医薬品供給状況」 調査結果/厚生労働省 「医薬品供給状況」 に基づき医薬品の供給状況の分類分析を行いました。
また、その結果を 「GE薬協産業構造のあり方研究会報告書 中間とりまとめ」 に記載したところです。
【分類分析方法】
① 薬価収載されているすべての医療用医薬品のうち、薬価削除予定品目を除いた品目を成分別/成分規格別に整理し、以下の3つのカテゴリーに分類
✓ 供給側で対応・確認が必要 ※1
✓ 需要変動が大きく総合的な検討が必要 ※2
✓ 生薬
② それぞれのカテゴリーごとに、さらに、以下の4つのカテゴリーに分類
✓ 供給不安なし ※3
✓ 事実上供給不安なし ※4
✓ 供給不安あり
✓ その他
③ ②の 「供給不安あり」 について、さらに、以下の2つのカテゴリーに分類
✓ JGA内企業で対応が必要 ※5
✓ JGA外企業を含め対応が必要 ※6
※1 供給制限が生じた場合に供給側を中心とした対応が必要なもの
※2 需要変動が大きく、供給制限が生じた場合に総合的な検討が必要なもの
※3 成分内/成分規格内のすべての品目が通常出荷中のもの
※4 成分/成分規格として、事実上供給に支障がないと考えられるもの
※5 当該成分/成分規格の供給について、主にGE薬協会員企業で構成されているもの
※6 当該成分/成分規格の供給について、GE薬協会員企業を含め構成されているもの
【分類分析結果】
2025年6月
品目別一覧(EXCEL)
成分規格別一覧(EXCEL)
成分別一覧(EXCEL)
2025年3月
品目別一覧(EXCEL)
成分規格別一覧(EXCEL)
成分別一覧(EXCEL)
2024年12月
品目別一覧(EXCEL)
成分規格別一覧(EXCEL)
成分別一覧(EXCEL)
【参考】
厚生労働省は、医薬品の製造販売業者からの 「供給状況報告」 を日々取りまとめ、公表しています。
医療用医薬品供給状況報告
さらに、医療用医薬品の限定出荷・供給停止の状況の月毎の推移に係る情報を毎月公表しています。
医薬品供給にかかる調査結果
「事実上供給に支障がないと考えられる品目」の供給制限解除等の要請について
今般、医薬品供給状況の分類分析結果に基づき、会員各社に対して 「事実上供給に支障がないと考えられる品目」 の供給制限解除等について、以下のとおり要請いたしました。
【会員各社における供給制限解除等の検討について】
1. 今般の分類・分析結果で 「事実上供給不安なし」 と分類した成分規格のうち、出荷状況を 「限定出荷」 又は 「供給停止」 としている品目については、特段の事情がある場合を除き、可能な限り早急に 「通常出荷」 とすることにつきご検討ください。
2. 上記1.の検討の結果、「通常出荷」 とすることができない品目で、「限定出荷(他社品の影響)」 となっている場合は、「限定出荷(自社の事情)」 に変更することにつきご検討ください。変更に当たっては、厚生労働省へその旨ご報告願います。
3. 各社による上記1.及び2.の検討結果については、当協会事務局にご報告願います。また、当会議としては、その後も検討状況のフォローアップを行い、その結果を当協会ホームページに公表する予定ですので引き続きご協力をお願いいたします。
4. 今般の検討対象となる 「事実上供給に支障がないと考えられる品目」 以外にも、供給制限解除が可能な品目があると思われ、各社におかれましてはこの機会に幅広にその可能性につき検討願います。
【供給制限解除等を検討する品目(具体例)】
【通知】
令和7(2025)年 7月 9日発出
「事実上供給に支障がないと考えられる品目」の供給制限解除等の検討に関するお願いNEW