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月刊JGAニュース

減薬への流れが加速 ジェネリックビジネスも新たなフェーズへ  

Monthlyミクス編集部

望月 英梨

 医薬品の適正使用、減薬への流れがいよいよ加速する。厚労省の高齢者医薬品適正使用検討会(座長:印南一路・慶應義塾大学総合政策学部教授)は3月9日、「高齢者の医薬品適正使用の指針」(総論編)案を大筋で了承した。高齢化が進展し、ポリファーマシーが課題となる中で、指針の活用により、不必要な薬を減らし、転倒やふらつきなどの副作用を防止してもらいたい考え。かかりつけ医とかかりつけ薬剤師を中心に多職種が連携し、安全性の観点から適正使用推進の流れをさらに加速させる狙いがある。
 医薬品適正使用の推進は2018年度診療報酬改定の柱のひとつでもある。エポックなのが、調剤報酬で新設された服用薬剤調整支援料だ。医療機関と連携して6種類以上の内服薬を2種類以上減薬した場合に算定できる点数。これまでの疑義照会の枠を超え、薬剤師が処方後の患者情報を把握し、医師に最適な薬物療法を提案する地域包括ケア時代の薬剤師像を描いた。指針は、こうした点数の算定に活用されることも期待される。実際、指針は医師・歯科医師のほか、薬剤師を“主たる利用者”としている。
 在宅医療を受ける患者も増加する中で、個々の疾患に応じて薬を出すのが医師の役目であれば、薬剤師は適正使用推進に向けて不要な薬を減らすことが期待される。さらに、患者との接点が多い看護師や介護職などには、患者の生活を見据えた服薬アドヒアランスの維持などへの貢献も期待される。薬剤師の役割が大きく変わるインパクトを秘めるばかりか、医薬品をめぐる多職種連携の在り方を大きく動かすきっかけとなる可能性まである。医療・介護現場はすでに動きつつある。
 高齢化の進展が進む中で、多剤投薬や残薬は深刻な影を落とす。医療保険上の課題ばかりか、患者のQOLなどへも影響する。医療現場では、薬剤起因性で起きた有害事象に対して、薬剤で対処し続ける悪循環に陥ることも指摘されている。寝たきりになった患者の症状が薬剤の服用をやめることで改善するケースも少なくないという。全国の保険薬局を対象とした調査で、同一の薬局での7種類以上処方されている75歳以上の患者は約1/4、5種類以上は4割を占めているとのデータもある。適正使用の流れは医
療の枠にとどまらず、介護や生活まで広げられることとなる。
 実は、指針が策定された会議は、医師、薬剤師、看護師など多職種が集う。医療現場と同様、職種間の隔たりなどが垣間見られる場でもある。「専門医も他領域については非専門医である」-。指針にはこう明記されている。
 適正使用推進の流れが強化される中で、製薬企業の担う役割も当然変化することとなる。指針に記載された薬剤は、降圧薬や睡眠薬、抗不安薬など、地域医療の現場で多く使用されている薬剤だ。当然製薬企業へのインパクトも少なくない。これまでのような地域基幹病院の専門医を中心としたAOL戦略(エリアでのキーオピニオンをターゲットとした戦略)も限界を迎える。医師だけでなく、薬剤師や看護師、介護職まで見据えた情報提供の必要性も強まることになる。医療・介護現場から求められる情報提供の内容や質はパラダイムシフトを迎えることになる。
 ミクス誌が行った医師600人を対象にした医師調査によると、フォーミュラリの策定について注意を払う医師の姿、とりわけ循環器科医でこの傾向が強いことも目を引く。こうした流れが行き着く先は、すべての企業が生き残る姿ではないのではないか。2018年度は製薬企業にとって波乱の一年となる可能性も見え隠れする。

 

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