先発系ジェネリック医薬品メーカーの合併で業界再編進むか
株式会社じほう 報道局
海老沢 岳
エーザイと日医工は3月、エーザイの全額出資子会社でジェネリック医薬品事業を手掛けるエルメッド エーザイ(東京都豊島区)を日医工の子会社とすることなどを含む戦略提携契約を締結した。4月以降、エーザイは順次、株式を譲渡し、2019年4月にエルメッド エーザイは日医工の完全子会社となる。
エルメッド エーザイは、1996年に設立。直近の売上高(17年3月期)は、280億2600万円。営業利益は、19億2100万円。純利益は、13億3600万円。エーザイとしては、直接的なジェネリック医薬品の供給事業からは撤退するが、医薬品原薬事業などの拡充を通じたジェネリック医薬品関連ビジネスは継続していくとしている。
今回の戦略提携では、まず4月2日付でエルメッド エーザイの発行済み株式の20%を日医工に譲渡。その後、エーザイがインド・バイザッグ工場を中心に展開している医薬品原薬事業を活用し、日医工への原薬供給を推進するほか、エーザイが認知症領域を中心に進めている疾患に応じたデータの有効活用などを目指す「領域エコシステム」の協業を図る。
エーザイが得意とする認知症や肝臓病といった領域での協業を進めることで、地域包括ケアの展開を含めた新たな市場の開拓を強化していく方針。
日医工としては、エーザイが持つ原薬事業のノウハウを活用した効率性の向上などで事業基盤を強化し、ジェネリック医薬品の品質と安定供給を両立させていく。
今年10月以降には、日医工とエルメッド エーザイがそれぞれ持つ製品について、エーザイと日医工がコ・プロモーションを展開する予定。
エルメッド エーザイの株式譲渡価額は、総額で約171億2000万円。エーザイは医薬品原薬事業や領域エコシステムの協業展開の進捗に応じて、エルメッド エーザイの株式を段階的に譲渡する。事業が順調に進捗すれば、今年10月には全株式の33.4%の譲渡を終え、2019年4月には全ての株式の譲渡が終了し、日医工の完全子会社に移行することになる。
エルメッドエーザイは、ジェネリック医薬品を自社で製造せず他社に委託している。先発系のジェネリック医薬品メーカーでは、こうした他社に委託するパターンが多い。自社で製造しない場合、経費が二重にかかるためジェネリック医薬品の価格がこれだけ下がる時代に、先発系メーカーのビジネスモデルは成り立たないのではないかと言われていた。実際にこうして事業をやめる会社が出てきた。エーザイが前例となり業界再編が進むのか、注目して見て行きたい。