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月刊JGAニュース

会長就任ご挨拶  

日本ジェネリック製薬協会 会長
沢井製薬株式会社 代表取締役社長 澤井 光郎

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 この度、日本ジェネリック製薬協会(以下、GE薬協)会長に選任いただきました澤井光郎でございます。
会長の大役を仰せつかり責任の重さに身の引き締まる思いでございます。就任にあたり一言ご挨拶申し上げます。
 まず、GE薬協会長としてこれまでご尽力頂きました吉田逸郎前会長に御礼申し上げます。
吉田前会長は5年間のご在任中、当協会の先頭に立たれジェネリック医薬品(以下、GE)の理解と普及啓発はもとより、国の医薬品政策に関わる場への参加やステークホルダーへの説明を通じてGE産業の理解増進に努めてこられました。また、2016年2月にはGE薬協の大きな節目であった50周年記念式典を取り仕切られ、2017年5月には「ジェネリック医薬品産業ビジョン」を取り纏められました
 吉田前会長のご在任中、2012年度に39.9%であったGE数量シェアは現在70%近くに達しています(2017年9月薬価調査65.8%)。また、国のGE数量シェア目標は80%に引き上げられ、医薬品産業強化総合戦略へのGEに関する記載は多くなり、GE薬協に対して官民対話の場にもお声がけいただけるようになりました。この5年間、吉田前会長がGE業界の発展とプレゼンス向上に大きく貢献されたことに対して、心から敬意を表する共に、心より感謝申し上げます。
 私達GE薬協は、高品質なGEの安定的供給を通じて、日本の医療の向上、効率化に貢献することを使命とするGE企業を会員とする団体です。
 近年、我が国においては、医療の質を落とすことなく限られた医療財源の効率的活用を図るべく、GEの使用促進が図られています。私達は、国のGE使用割合80%に向け、今後とも業界を挙げ、安定供給体制、品質に対する信頼性の確保、情報収集・提供体制の整備・強化に努め、政策目標達成の要請に応えて参ります。
 さて、昨年末に取り纏められた薬価制度の抜本改革に基づきこの4月には薬価改定が実行されました。これによって、新薬、長期収載品、GEのいずれもがこれまでとは全く異なる環境に置かれています。中でも、GE収載後10年が経過した長期収載品でGE薬価の2.5倍以上のものについてはGEの2.5倍迄引き下げ、その後6年間でGEと同薬価もしくは10年間で1.5倍迄引き下げるというG1、G2ルールが新設され、更にG1品目については市場からの撤退をも認めるという、これまでにない考え方が導入されました。これらに
より、GEへの置き換えが進むのか?足踏みするのか? GEの増産体制を進めるべきなのか?現状維持でいくのか?、GE業界は全くこの先を予見する事が出来ない状況に陥っています。
 ここ数年間は、大型新薬の特許切れ数が多く、毎年14.4%の勢いで数量が伸びてきました。これに対して、会員各社とも高額な設備投資を行い、この需要増に応えてきました。 
 しかしながら、今後、現状のGEシェア約68%が2020年9月に80%になるとすれば年8%の数量増へと鈍化し、しかも特許切れを迎える新薬の市場規模、数も少なくなる中、この4月に続き、来年、再来年と毎年の薬価改定が予定されています。GE各社の薬価の引き下げ率に差は有りますが、仮にこれまでと同じように2ケタ改定が行われると、金額ベースではGE市場はマイナス成長の時期に転じることに計算上はなって参ります。まだ増産に向け投資した新設工場への原価償却は始まったばかりのうえ、働き方改革の影響もあり工場の人件費も上昇してきています。多くのGE企業は継続的な設備投資を行う意向を有していますが、現行の価格帯制度では加重平均をすることによりまじめに取り組んでいる企業の薬価が市場実勢価格以上に下がってしまうという問題を抱えており、このことがマイナス成長に入っていく今後のGE業界に大きな影響を与えると考えています。
 今、我々 GE企業は、2020年9月の80%達成以降、100年後にも日本品質のGEを安定供給し続けるために何を成すべきなのかを問い直す時期だと考えます。
 このような環境の中、新会長として、3つの基本方針と、2つの事項に取り組んで参りたいと考えます。
<基本方針>
〇GE数量シェア80%の達成に向けGEの普及活動への一層の取り組み
〇GEを持続的に安定供給できる薬価制度の実現
〇環境激変に伴う「ジェネリック医薬品産業ビジョン」の改定と政策の提言
<取組み事項>
〇GE薬協内の委員会活動の更なる充実
〇関係団体とも連携したステークホルダーへの積極的な活動
 併せて、時あたかも、国を挙げての流通改善に取り組む事が求められています。医薬品卸様も不退転の決意で交渉に臨むと言われています。
 この流通改善に対しては、GE業界こそが一次売差マイナスの解消に最も真剣に取り組む必要があり、業界の将来を見据え各社が取り組んでもらいたいと考えます。
 このように、私達GE業界を取り巻く環境はこれまでとは全く違う状況にあると認識しています。GEの社会的責任は重くなり、GEを供給する企業や団体の役割、責任は増大しており、私達は一層努力しなければなりません。
 会員会社ならびに賛助会員の皆様とはもちろんのこと、厚労省、医療関係団体、保険者団体、薬業界団体の皆様、議員の先生方とも率直に意見を交わさせて頂きながら、GE数量シェア80%時代、さらにその先に於いてもGE産業が必要不可欠な社会インフラとなるよう活動して参りたいと思います。
 関係の方々には、引き続きGE薬協の活動にご理解、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

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