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月刊JGAニュース

制度改革で卸と先発企業に動きが  

株式会社じほう 報道局 海老沢 岳

 2018年度に導入された新たな長期収載品の値下げルールによって後発医薬品の参入から10年が経過した長期品は、18年度から急激な薬価引き下げのカウントダウンが始まる。後発品の置き換え率が80%以上の長期品(G1)は6年後には後発品と同じ価格になり、置き換え率80%未満の長期品(G2)も10年で後発品の1.5倍まで価格差が縮まる。
 この動きに乗じて3つの新たな取り組みが始まっている。1つ目は製薬企業が長期品のノンコア(非中核)事業を医薬品卸の子会社に売却するものだ。
 7月31日に第一三共が長期品41製品の売却を発表した。医薬品卸への売却だ。よりアンメットニーズの高い新薬の開発に集中するためノンコア事業を売却し、その資金を新薬の開発に再投資するという狙いだ。
 長期品の値下げルールの導入前にもアステラス製薬や中外製薬が長期品を売却する動きがありこうした傾向は強まりそうだ。
 もともと国内の製薬企業にとって、長期品は新薬の開発資金を捻出する大切な事業だったが、制度改革でノンコア事業としての位置付けがほぼ固まり、企業行動にも表れたといえる。 
 2つ目がこの動きをビジネスチャンスに生かそうとしている医薬品卸だ。医薬品卸は卸売事業の営業利益率が1%前後にとどまり、もともと収益性が低い。そこに長期品の薬価が今後急激な引き下げを受け別の事業で収益の向上を図るのが喫緊の課題だ。
 そこでアルフレッサ ホールディングス(HD)は子会社の製薬企業アルフレッサ ファーマが第一三共・第一三共エスファの長期品を承継する。アルフレッサHDは医薬品の製造販売事業を新たな成長事業に位置付け、これまでも製薬企業から原薬工場を譲り受けるなど多角化を進めている中で今回の長期品の承継を決めた。
 3つ目の動きは先発メーカーが別会社を作ってオーソライズド・ジェネリック(AG)をこぞって販売し始めたことだ。すでに後発品の参入を受けているにもかかわらず後出しでAGを出す会社もある。
 先発メーカーがAGを出すということは今まで販売していた長期品を50%値引きして販売するに等しい。長期品を売り続けていた方が本来は売り上げを多く得ることができるが、今後長期品の薬価は急激に下がる。
 価値が目減りするなら後発品事業に打って出て少しでも収益を確保しようという作戦。日本国民のブランド志向は強いため、AGと後発品は同等であるがAGの方が多くの販売シェアを取れることから、今のところAGは有効な後発品対策だ。

 後発品メーカーは自社がどういった販売戦略を取るかというより、巨大な先発メーカーや卸の市場に大きく影響を受ける業態と言える。制度改革でより後発品メーカーは他業種の動きに目をこらす必要が出てきたのではないか。

 

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