薬価改定直撃の4~9月期決算
株式会社じほう 報道局 海老沢 岳
2018年度薬価改定の影響を受けて専業大手も中小後発医薬品メーカーも特殊要因で伸びた企業を除いて2018年度4 ~ 9月期決算は厳しい結果となった。専業大手3社と中小メーカーの順に解説していく。
まずは専業大手3社。国内事業を見ると、日医工が長期収載品の売り上げ減に引っ張られ売上高は前年同期比0.5%の減収で、沢井製薬は3.1%増収、東和薬品は9.9%増収だった。
3社で唯一減収の日医工は後発品が前年同期比1.2%増だったが、長期品の12.7%減収が影響した。同社の売り上げの5.5%が長期品で影響はしばらく続きそうだ。一方で19年度は業績の改善が見込まれる。19年4月にエーザイの子会社「エルメッド エーザイ」が日医工の完全子会社になり売り上げに加わることや、19年4月以降の上市を目指すエタネルセプトBS(先行品名=エンブレル)が売り上げに貢献しそうだ。
沢井製薬の国内の増収要因は薬局市場を中心に後発品の需要が伸長した。海外事業を見ると、17年6月から売り上げが連結に加わった子会社米アップシャー・スミス・ラボラトリーズの売り上げも増収だった。19年度は売り上げの連結入りが一巡するため海外事業の真価が問われる。
東和薬品は17年度からスズケンと東邦ホールディングスの卸2社との取引が始まったことが増収の主な要因だ。現在販路別で20%を占める卸ルートが今後2年以内に30%まで増えたところで成長が落ち着く見込み。同社は製剤工夫によって得意先から選ばれるメーカーを目指しており、卸特需の後に成長を牽引する要因になるか真価が問われている。
◎AGの取り扱いで業績左右、中小GEメーカー
一方、オーソライズド・ジェネリック(AG)の取り扱いがある無しで業績が好調、不調と二極化したのが中小GEメーカーだ。
田辺三菱製薬の後発品子会社を買収したニプロは抗アレルギー薬「タリオン」のAGの売り上げ貢献などで売上高は前年同期比40.5%増だった。
各社のAGを取り扱いAG路線に大きく舵を切った第一三共エスファも53.2%増だった。後発品専業大手を除いた2番手グループで売上高の先頭に立つのがニプロで、次に第一三共エスファが名を連ねた。気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療剤「キプレス」及び「シングレア」のAGを扱うキョーリン製薬ホールディングスも4.2%の増収だった。
一方AGの取り扱いのない多くの中小GEメーカーでは薬価改定の影響を直に受けて減収が目立った。