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月刊JGAニュース

編集後記  

 2019 年 1 月 27 日、国民的グループが記者会見を開き、2020 年末をもって活動を休止することを発表した。20 年もの間、子供から大人まで親しまれたグループの活動停止は、世の中にとって衝撃的なニュースであった。これからも存在すると思っていた私にとって、 このニュースは、時代の移り変わりを感じさせる出来事であった。
 この20年間を振り返ると、私の生活環境は、科学技術の発展により大きく変わってきた。新しいニュースを知るために、スマートフォンやタブレット端末によって、インターネットに接続し、簡単に多くの情報を入手することができる。さらに今後は、膨大なデータに基づいてコンピュータが状況を判断できる人工知能(AI)の導入によって、大幅に変化してくと考えられる。
 この AI は、医療に対しても大きく影響しており、画期的な新薬の開発などを大幅に加速すると考えられている。さらに先進的な診断技術の発展により、個々の患者に合わせた個別化医療もきめ細やかなものになっていくといわれている。
 新薬開発における化合物を設計したい場合、「その物質の化学構造を特定すること」と「どのような化学反応によってその分子を組み立てるか」を明らかにする必要がある。この過程は数多くの失敗を避けることができず、時間と費用が膨大に必要である。しかし現在、AI の応用がこの過程をより早く効率的行う方法をもたらしてきている。目的の化合物を合成するために行われた成功例と失敗例のすべてをAI に解析させることにより、AI が見出したパターンから有用そうな新分子の構造とその合成過程を予測する。AI 技術は薬剤分子や新素材を実際に設計する手段へと急速に進展している。また、AI は、先進的な診断ツールとなり、個別化医療に向けた前進を加速させている。近年、分子診断に用いられる膨大なデータを AI が解析することにより、臨床に役立つ新たなバイオマーカーが見つかってきた。今後、個々の患者の分子レベルの特徴をもとに治療計画が立てられるようになるだろうといわれている。それぞれの患者に最も効果的な治療を示すことで、医療費の削減につながる可能性もある。
 AI 技術の導入は、劇的な変化をもたらし、人の行ってきた仕事を奪い、社会的な問題を発生するともいわれている。一方で、人は、技術の発展を受け入れて、応用することで社会を進化させてきた。AI を導入することにより、人手不足が解消され、新しい仕事を生み出すことができる。私も、この技術の中で自分が何をするべきなのか、何をしたいのか、じっくり考えて生活を豊かにしていきたい。

 

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