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月刊JGAニュース

特別寄稿  

神奈川県におけるジェネリック医薬品(後発医薬品)使用促進の取組について

神奈川県薬務課

1 ジェネリック医薬品使用割合の現状

 平成30年11月時点における本県のジェネリック医薬品使用割合は74.8%で、全国平均の76.7%を下回り、47都道府県の中では、第38位に位置しています。
平成29年6月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2017で国が掲げた「平成32年(2020年)9月までに使用割合を80%にする」目標を受け、本県においても平成30年3月に策定した第三期神奈川県医療費適正化計画(2018年度~ 2023年度計画)で、使用割合を80%以上とする目標を定めています。

2 神奈川県の取組

 本県では、ジェネリック医薬品の製造販売業者等の監視指導を行う健康医療局生活衛生部薬務課と医療費の適正化を推進する同局保健医療部医療保険課が連携を図り、ジェネリック医薬品使用促進のための取組を行っています。

(1)神奈川県後発医薬品使用促進協議会の設置
 ジェネリック医薬品の製造や医療に関わる関係団体、保険者、県内大学の学識者及び消費者等を委員とした神奈川県後発医薬品使用促進協議会を平成20年11月に設置し、県民や医師等の医療関係者が安心してジェネリック医薬品を使用できるための環境整備や、使用促進のための取組について検討を行っています。
 平成31年1月18日に開催した平成30年度の本協議会では、本県の取組結果や今後の方向性に関する協議を行うとともに、出席した委員が、所属団体等におけるジェネリック医薬品使用促進に係る取組の現状及び課題について、医療の現場や製薬業者、保険者の各立場から報告し、委員間の活発な意見交換が行われました。

(2)県民に対する普及啓発
 ジェネリック医薬品についての知識を深め、上手に使っていただくため県民向けに2種類のリーフレット「ご存じですか?ジェネリック医薬品」(リーフレット①)及び「そのお薬代、安くなるかもしれません」(リーフレット②)を作成し、市町村等と連携して配布しています。
 本リーフレットには、県民に活用いただけるように「ジェネリック希望カード」をつけています。
 また、高齢者の方を主な対象とした「お薬の基礎知識に関する出前講座」を実施し、ジェネリック医薬品の品質等の説明を行っています。

(3)国民健康保険及び後期高齢者医療制度における後発医薬品使用促進事業について
 本県では、毎年、市町村等の国民健康保険の保険者及び後期高齢者医療広域連合に対し、国民健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律に基づく定期指導及び技術的助言を行い、その中で、後発医薬品利用差額通知の発送等、ジェネリック医薬品の使用促進に係る取組の推進について指導及び助言を行っています。
 また、平成30年度に、本県は国の「後発医薬品安心使用促進事業」の重点地域に選ばれました。この指定を受けて、県内のジェネリック医薬品の使用割合が低い国民健康保険及び後期高齢者医療制度のレセプトデータを活用し、市区町村別、保険者別、性・年齢階級別、薬効別等について分析を行い、結果を保険者等に提供し、ジェネリック医薬品の使用促進の効果的な取組を支援する事業を行いました。
 ほかにも、後期高齢者医療制度の被保険者を対象に、神奈川県後期高齢者医療広域連合が実施したジェネリック医薬品の使用割合向上に向けた普及啓発に対する支援を行いました。

(4)県内公立病院におけるジェネリック医薬品の採用状況調査等について
 県内の医療機関がジェネリック医薬品を採用する際の参考にしていただくため、平成29年8月から9月にかけて、県内に28施設ある公立病院のジェネリック医薬品の採用基準及び採用後発医薬品リストの調査を行い、その結果を本県ホームページで公表しています。
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/n3x/yakumu/kouhatsu/kouhatsu.html#saiyou
 また、平成30年8月から9月には、本採用基準及びリストの活用状況等に関するアンケートを実施しました。
 アンケートの対象は県内の病院、診療所、歯科診療所及び薬局とし、本採用基準及びリストの認知度や有用度について回答を求めた結果、現時点ではまだ認知度は低い状況であることが分かりました。アンケート結果についても、本県ホームページで公表しています。
http://www.pref.kanagawa.jp/library_documents/h30anke-tokekka.pdf

(5)ジェネリック医薬品製造所の調査等
 県内に所在しているジェネリック医薬品の製造所に対してGMP適合性調査を実施し、製造管理及び品質管理が適正に維持されていることを確認しています。

(6)ジェネリック医薬品に関する情報提供
 県民に安心してジェネリック医薬品を使用いただけるよう、また、医療関係者が必要とするジェネリック医薬品の情報を収集できるよう、本県では、ホームページに「県民向け情報」及び「医療関係者向け情報」を掲載しています。
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/n3x/yakumu/kouhatsu/kouhatsu.html

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立川市薬剤師会におけるジェネリック医薬品の使用促進の取り組みについて

一般社団法人 立川市薬剤師会
理事 倉繫 幸枝

 立川市の概要から説明していきます。立川市は、東京都のほぼ中央、西寄りに位置しており、多摩地域の中心部分にあって、昭島市、小平市、日野市、国分寺市、国立市、福生市、東大和市、武蔵村山市と接しています。
 市域の南側には東西に流れる多摩川が、北側には武蔵野台地開墾の源となった玉川上水の清流が流れ地形は平坦です。
 JR 立川駅周辺は商業が発展し人が集まり、市域の中央部分には国営昭和記念公園や広域防災基地などがあります。また市域の北部は都市農業や武蔵野の雑木林などが緑豊かな地域を形成しています。
 市の標高は最高 124.7 メートル/最低 64.9 メートル、人口は約 18 万人、交通は、東京都の東西を結ぶ JR 中央線が走り東京駅から特別快速電車で約 40 分です。また立川駅には JR 青梅線、JR 南武線、JR 五日市線が乗り入れているほか、多摩都市モノレールが多摩センター駅から立川南・立川北駅を経由して上北台駅へ達しています。北部には西武拝島線が通り立川は多摩地域の交通の要衝となっています。
 商業・業務面から立川市は、国から首都圏の「業務核都市」に位置づけられ、商業や業務などの集積が図られると共に、文化、研究、防災などの広域的な都市機能が整備され、拠点形成が進められています。米軍立川基地跡地を利用した「ファーレ立川」は、商業・業務中心の近代的ビルが並び、世界各国からの 109 ものアート作品が街と一体になって新しい都市空間を創出しています。また JR 立川駅の周辺には有名デパートや大型スーパーなどが数多くあり、多摩地域の商業の中心となっています。この他基地跡地には「国営昭和記念公園」などがあり、国や都の各機関、医療機関、報道機関も多く集まっています。
 また、立川市は東京都における北多摩西部二次保健医療圏に属しています。急性期医療の中心を担う独立行政法人国立病院機構災害医療センター (455 床 )、国家公務員共済組合連合会立川病院 (450 床 )、立川相互病院 (287 床 ) や管轄する保健所も市内に所在しており、隣接する市との連携の中心的な役割となっています。
 私どもの立川市薬剤師会は昭和 44 年に創設され、平成 24 年 7 月に一般社団法人立川市薬剤師会となりました。当会の事業としては、学校薬剤師、休日診療、公衆衛生、在宅医療、薬物乱用防止および薬の教育、災害対策等々の事業を実施していくことにより、医師会・歯科医師会を始め多職種の方々との連携を行い、地域住民の皆様から信頼される「かかりつけ薬剤師」として活動をしていくことです。
 さて、本題でもある「立川市薬剤師会におけるジェネリック医薬品の使用促進の取り組みについて」ご紹介致します。
 今、医薬品は、薬価収載の品目数約 16,000、ジェネリック医薬品の品目数約 10,000 そのうち 58 品目がオーソライズドジェネリック医薬品です。厚生労働省は、平成 21 年頃よりジェネリック医薬品の係る保険医療機関及び保険薬局に対する周知徹底等に関する取り扱いについて、保険医療機関及び保険薬局に対する適時調査並びに集団指導、集団的個別指導及び個別指導において患者さんに理解を深めてもらえるよう十分な説明をすることを指導しています。この指導の基に立川市薬剤師会は、医師会と年数回行っている勉強会の折に、ジェネリック医薬品を使用してもよい時は一般名を書いたり、そのままジェネリック医薬品名を書けば調剤する薬剤師側は、適切にジェネリック医薬品を調剤できることを説明し、また、医師へオーソライズドジェネリック医薬品とは先発品と同等品であることを説明して処方箋記載をお願いしています。
 また、これまでに薬剤師会として取り組んできたことは、ジェネリック医薬品がどれくらい患者さんに理解されているか会員にアンケート調査を行いました。
 平成26年7月に行ったアンケートの結果では、ジェネリック医薬品を 55%以上使用している会員薬局は 66.7%になっています。
 そして平成30年度にはさらに高い数値になってきたことは、以下のことに会員とともに1つ1つ取り組んできた結果といえます。

  • (1) ジェネリック医薬品推奨啓発ポスターを作成し各薬局へ配布
  • (2) 立川市広報へジェネリック医薬品の説明文を掲載
  • (3) 立川市とジェネリック医薬品の推奨についての話し合い

 また、前述の独立行政法人国立病院機構災害医療センター、国家公務員共済組合連合会立川病院、立川相互病院をはじめとして、各クリニックの一般名処方が 90%前後の高い率になっていることもジェネリック医薬品使用率の上昇につながっているのだと思います。一般名使用率の高値を維持していくために今まで行ってきた取り組みを再確認する必要があります。
以下に、会員薬局の取り組みを 6 例ご紹介させていただきます。

A 薬局 ・患者さんにこの薬はジェネリック医薬品があることを伝える。
    ・本人の経済的なメリットだけでなく、医療費の抑制に必要と説明する。
    ・先発品より剤形的に飲みやすい場合があると説明。
     錠剤の大きさが小さくなる。OD 錠の味が改善されている・・等。
     患者さんに伝えるとともに処方医にも説明。
    ・特別な場合を除いてなるべく一般名処方にしていただく。


B 薬局 ・薬歴簿の表書きの基本情報のなかで過去、ジェネリック医薬品を希望しなかった患者さんにも適度な間隔を置いて再度確認を行う。
    ・薬局のスタッフ自身(特に投薬する薬剤師)もジェネリック医薬品を服用使用していることを伝える。


C 薬局 ・処方箋預かり時にジェネリック医薬品の変更可否を必ず確認。
    ・患者さんの安心を得る為、オーソライズドジェネリック医薬品をなるべく使用するようにしている。
    ・安定して供給できるメーカーを選ぶと同時に、なるべく安値のジェネリック医薬品を選ぶ。


D 薬局 ・新患受付時に基本的にジェネリック医薬品で調剤することに同意をもらって表書きに記載しジェネリック医薬品にて対応。
    ・オーソライズドジェネリック医薬品があれば優先して採用、患者さんが品質的に不安がある場合は積極的に説明できる。


E 薬局 ・患者さん毎のこだわりにあった説明の仕方。(単に安い方が良いのか、ヒートもしくは錠剤が似ている方が良いのか)
    ・厚生労働省のパンフレットで何度も説明。


F 薬局 ・新患者さんにジェネリック医薬品の説明パンフレットを渡し説明。
    ・処方箋を見せ医師の意向を患者さんに確認してもらう。
    ・ジェネリック医薬品供給が安定している医薬品を選ぶ。
    ・なるべくオーソライズドジェネリック医薬品を選ぶ。
    ・ジェネリック医薬品に変更したことを薬歴に書き次回来局時に体調変化ないか確認する。


 以上のように、三師会をはじめ、多職種連携を歴史的に推進してきた地区であるため、お互いに情報共有しやすい機会があり、その関係性が重要と考えます。その中で、薬剤師は専門家として積極的に自局での取り組みを行い、医療機関等もそれに協力して一歩ずつ前に進んでいることが、地域貢献につながると考えています。今後も地域の特徴をいかしながら、住民の方々に頼られる薬剤師を目指し、当会も活動していく所存です。

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