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委員会活動報告

『医療用医薬品の流通改善に関する懇談会(第29回)』開催

流通適正化委員会
内海 滋

開催日:令和元年 6 月 28 日(金) 
場 所:TKP 東京駅日本橋カンファレンスセンター ホール 7


 このたび「第 29 回医療用医薬品の流通改善に関する懇談会(以下、流改懇)」が 6 月に都内会場にて開催されましたのでご報告致します。
 流改懇は厚生労働省(以下、厚労省)医政局長の意見聴取の場として、医療用医薬品流通の現状を分析し、公的医療保険制度の下での不適切な取引慣行の是正等についての検討を行うことを目的としております。
 今回の流改懇ですが、昨年 4 月より運用が開始された「流通改善ガイドライン(以下、GL)」(医政発0123 第 9 号、保発 0123 第 3 号)の発出から 1 年以上が経過し、年間を通じてどのような進捗が見られたのか、また流通課題となっている各種項目別の進捗や新たな流通課題についてなどが主題となりました。


【第 29 回流改懇議題】
1.流通改善の課題と進捗状況について
2.その他
※配布された全ての資料は厚労省 HP にて公開されています。
流改懇資料 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_127251.html
 当日の配布資料を基に解説を行いたいと思いますが、今回はポイントとなった部分に絞って記載致します。流改懇にて現在も大きなメルクマールとなっている「未妥結仮納入の是正、単品単価取引の推進、売差マイナスの改善」については、2019 年 4 月に薬価改定が無かった影響もあり大きな進展はありませんでしたが、各種流通課題については現状の確認と今後やるべきことが共有された議論となりました。


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(資料 1) 流通改善の課題と進捗状況(令和元年 6 月 28 日厚生労働省)
前回に引き続き、流通課題である各項目に対し、その課題が GL の記載内容のどの部分に相当するのかについて整理が行われました。課題項目は前回の 4 つから 5 つに増えています。(流通の効率化等」の追加)
1.一次売差マイナスの解消、適切な仕切価・割戻し等の設定
2.バーコード表示の推進
3.早期妥結の推進、単品単価契約の推進、頻繁な価格交渉の改善
4.過大な値引き交渉の是正
5.流通の効率化等


1.一次売差マイナスの解消、適切な仕切価・割戻し等の設定
 一次売差マイナスの解消については前回の報告にて、本件は各流通当事者が一丸となって取り組まないと達成出来ないと記載しました。今年 4 月は薬価改定が無く、各企業が 2019 年度初めに向けて新しい仕切価を提示することが少なかったことにより、実数(前回会議における 2018 年上期終了時点の報告では、納入価率+2.0%、仕切価率+0.6%となり、仕切価の上昇を納入価の上昇が上回ったため、売差マイナスは 1.4%の改善となった)の報告はありませんでした。しかしながら、昨年4月からGLの運用が開始され、同年10月3日には川上 WT の活動によって、医政局経済課から「適切な仕切価・割戻し等の設定について」が発出されています。これによって仕切価と割戻し等の整理が行われ、次回の仕切価設定に向け取り組むよう通知されています。
 この通知を受けて、2019 年 4 月 1 日現在の関係各社の取り組み状況が公開され【表1】、回答メーカー数 97 社中、94 社96.9%)が着手と回答し、未着手の 3 社も 5 月までには着手すると回答されています。結果 100%のメーカーが現時点で着手済みとなり、次回薬価改定を迎えることになります。



 また一部のメーカーが 4 月 1 日時点で、割り戻しの運用基準を変更(17社)、仕切価を変更(11社)と回答されており、既に実施に踏み出した企業があることが公開されました。


2.バーコード表示の推進
 「医療用医薬品における情報化進捗状況調査結果(2018 年 9 月末)」が資料として示され、表示必須項目となっている販売包装単位、元梱包装単位ともに、前回の調査数値より伸長しています。傾向としては注射薬>内用薬>外用薬の順に進捗が良く、相変わらず外用薬の伸長の鈍さが目立っています。併せて資料として「対応完了見込時期」が示され、2018 年度までに完了していない企業も、現状では表示期日である 2020 年度下期までに、ほとんどの企業が達成出来ると回答されています。(薬機法が改正されると変動バーコード表示対応の期日が変更される可能性があります)
 その他、資料 1 に公開されている「3.早期妥結の推進、単品単価契約の推進、頻繁な価格交渉の改善」「4.過大な値引き交渉の是正」については是非資料を確認いただきたいと思います。前回劇的に改善した単品単価取引は変わらず高い数値が維持出来ており、過大な値引き交渉については新たな事例が公開されています。
 「5.流通の効率化等」については、日本医薬品卸売業連合会(以下、卸連)の資料に同様の資料があるため、これについては後ほど述べたいと思いますが、厚労省資料には取り組みの経緯や具体例が示されておりますので、是非資料をご確認下さい。


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(資料 3) 流通改善ガイドライン 2 年目における流通改善の推進について(卸連)
卸連からは下記の項目に対し説明がありました。
1.流通改善 GL 適用 2 年目における流通改善について
2.川上流通における課題
3.川下流通における課題
4.流通の効率化に関する課題


 当日の説明によると、今回経験する年度途中の薬価改定に伴い、本来 9 月時点でひと段落するはずの価格交渉が年複数回契約となることが想定され、価格交渉の煩雑化や流通への直接的な影響が出ることを懸念するとの説明がありました。併せて、卸連としては進めるべき流通改善が後退してしまうと危惧されています。


我々 GE 薬協は川上流通に関係する団体であるため、特に2.川上流通における課題【表2】にポイントを絞って説明致します。



(1)一次売差マイナスの改善について
 卸連からは過大な薬価差の解消、および市場実勢価水準を踏まえた適切な一次仕切価の提示と適切な仕入原価の設定が必要とされています。メーカー側が行うべき適切な仕切価の設定については、資料1にも記載されていた通り、昨年10月3日通知に則り各社取り組みを進めている状況です。

(2)卸機能の適切な評価を反映した割戻し設定の推進について
 資料 1 でも示した通り、割戻しの変更や見直しはすでに一部のメーカーが始めている状況にあるため、卸連も「適切な仕切価・割戻し等の設定について」に関する通知の反映が進行しつつあると評価しています。また卸機能の更なる評価を求められ、「危機管理流通機能」「需給調整機能」の検討を行うことで、割戻しの整理を更に充実させる必要があると説明されました。
(3)ワクチンや後発医薬品等の出荷調整に関する情報伝達について
 本提案は我々 GE 薬協にとっても大変重要な提言と認識しています。取り扱っている製品が医薬品である以上、品薄や欠品が発生しないよう十分な生産体制の構築は重要です。しかしながら、イレギュラーな事例を含めた同様のトラブルはどうしても起こり得るため、起こった際の対応や準備は何よりも大切であると理解しています。
 会議当日は日本薬剤師会や日本病院薬剤師会からも同様の苦言が呈され、既に起こっている出荷調整事例が後発医薬品特有の事例ではないにせよ、卸連からの要望にある通り、メーカー団体がしっかり対応を検討すべきと筆者も考えています。


 最後に卸連資料の4.流通の効率化に関する課題【表3】について説明します。



 厚労省資料にも記載されていましたが、(1)返品の扱いについては、卸連より参考資料として出された「返品実態に関する調査結果」に合わせて課題が抽出されています。
 最新の調査結果によると、以前平成 17 年時に行った同様の調査結果と比較し、拡販政策による余剰在庫の返品割合は減少傾向にあります。代わって在庫調整に伴う返品割合が増加していると今回示されました。特に在庫圧縮を目的とした返品は非効率であるとされ、以降はその削減に取り組んでいくと表明されました。またメーカー側への要望として、包装等の切り替え時期を早期に連絡するよう要請し、同時に原則返品を受け入れるよう希望が出されました。


 (2)頻回配送・急配の改善等については、一部急配増加の原因が後発医薬品の市場拡大に関係しているとされてきました。しかし厚労省資料(22 ページ参照)に、急配発生時の該当製品カテゴリー(新薬創出加算品、特許品、長期収載品、後発医薬品)に偏りがないことが示され、この資料に記載されている通り、頻回配送や急配の改善には「配送のルール化」が必要と提案されました。特に本件は川下側との対応が重要になると想定します。


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 運用開始後 2 年目に突入している GL ですが、その効果は徐々に出てきてはいるものの、更に流通当事者が意識して取り組むべき事項は山積されています。また 2019 年は 10 月に薬価改定と消費増税の混乱を回避するため、卸連資料にも記載されていますが「全ての流通関係者の協力体制」が重要と我々も考えています。
 当協会も引き続き適正流通の推進に取り組み、国民からの理解を得られるよう努力を継続致します。


くすり相談アンケート(平成30年度)結果について

くすり相談委員会

1.調査目的
 当委員会では、くすり相談窓口における対応状況に関する調査を平成 15 年より 5 年ごとに実施している。今般、平成 25 年から 5 年が経過していること、ジェネリック医薬品(以下、GE)を取り巻く環境も大きく変化し、情報提供の一翼を担うくすり相談業務も一段と多岐に渡ること、更に、その重要性が増していることから、会員各社において様々な情報提供が要請されている状況を整理し、問い合わせ窓口から見た情報提供のあり方を検討するため、くすり相談の現状等についてのアンケート調査を行った。2.調査方法
 調査期間は、2018 年(平成 30 年)10 月 1 日~ 2018 年(平成 30 年)11 月 30 日の 2 ヵ月間、調査項目は、調査期間における 相談区分、 相談方法、 相談項目とし、その他各企業における相談対応状況等の内容について調査を実施した。解析方法は、調査期間 2 ヵ月間の総件数について集計・検討した。3.前回までの調査との比較調査概要と第 1 ~ 3 回の調査との比較
 調査期間と回答会社は以下の通りであり、調査時期は多少異なるものの、期間はいずれも 2 ヵ月間であることから、特に調整等は行わず、そのままの合計で比較した。
 第 1 回:平成 15 年 10 月 21 日~ 12 月 20 日   20 社
 第 2 回:平成 20 年 1 月 15 日~ 3 月 14 日 34 社
 第 3 回:平成 26 年 1 月 21 日~ 3 月 20 日 32 社
 第 4 回:平成 30 年 10 月 1 日~ 11 月 30 日    39 社
 相談件数は、5 年前の 54, 028 件から今回 62, 977 件と 1.2 倍の増加を示し、16 年前の 7, 019 件と比べると 8.9 倍増加している。これは GE の普及に伴う使用増により相談件数の大幅な増加であることが明確となったと考える。

 今回の調査では新たに「資料請求・調査票記入の依頼」の項を「資料請求」と「調査票記入等の依頼」の項に分けて、調査を行った。相談内容として、「問い合わせ」の件数は、増加傾向が続いており、「苦情」の件数はそれほど変動なかった。新設した項の「資料請求」の件数は、「問い合わせ」の件数に次いで多かった。




7.企業対応状況
今回のアンケート調査に回答した 39 社の企業対応状況は以下のとおりであった。
(1) 資本(n=39)
 ・外資  7 社
 ・内資 32 社
(2)製品数(n=38)
 ・10 製品未満・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 社
 ・10 製品以上 50 製品未満・・・・・・・・・・10 社
 ・50 製品以上 100 製品未満・・・・・・・・・・6 社
 ・100 製品以上 200 製品未満・・・・・・・・11 社
 ・200 製品以上 400 製品未満・・・・・・・・・1 社
 ・400 製品以上・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 社



【まとめ】
 近年、日本の医療の質を落とすことなく限られた医療財源の効率的活用を図るべく、GE の使用促進が図られており、2017 年 6 月に閣議決定した「骨太方針 2017」では、「2020 年(平成 32 年)9 月までに、GE の使用割合を 80%とし、できる限り早期に達成できるよう、更なる使用促進策を検討する。」とされた。このように医療現場での GE の使用頻度が高くなることから、これまで以上に、安定供給体制、品質に対する信頼性の確保、情報収集・提供体制の整備・強化が求められている。
 くすり相談窓口における対応状況の 2 か月間のアンケート結果から、相談件数が 5 年前の 54, 028件から今回 62, 977 件と 1.2 倍の増加を示し、16 年前の 7, 019 件と比べると 8.9 倍に増加し、GE の普及に伴い相談件数も大幅に増加していることが明確となった。
 医療関係者からの相談項目としては「品質等」の問い合わせが全体の 28%を占め、最も多い問い合わせであった。「品質等」への問い合わせの内訳で半数以上が「安定性等」※に関する問い合わせであった。その内容としては「粉砕後(脱カプセル)の安定性試験」、「簡易懸濁試験結果」が多かった。医療現場ではより患者のニーズに合った調剤・服薬のため、このような品質関連の情報を製薬会社に求めて問い合わせをしていることが浮き彫りとなっている。(※今回の調査において、簡易懸濁試験結果に関する相談は「安定性等」として集計を行った。)
 今回のアンケート結果が、今後 GE 製造販売会社としてどのように GE の情報提供を充実していくべきか考える一助となれば幸いである。最後に、今回のアンケート調査にご協力頂きました企業の皆様に深謝致します。

以上