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月刊JGAニュース

秋。鈴虫の音と、心地よさ。  

 10 月後半から 11 月にかけて、仕事の帰り道、地元では“鈴虫の鳴き声”が本格的に聞こえてくるようになった。毎年この時期になると、私にとって秋を感じさせてくれる心地よい自然の BGM となっている。
 鈴虫の鳴き声は、私たち人間をリラックスさせ、快眠効果を促進する効果があるといわれている。心地よい音を聞くことによって副交感神経が刺激され、睡眠に関わるホルモンの分泌が促される。これが質の良い睡眠につながるらしい。人間は自分が心地よいと感じる音が耳に入ってくると、リラックスするという特徴があり、例外もあるが多くの人にとって鈴虫の鳴き声は心地よい音ということになるそうだ。
 また、一説によると、目安として脳を働かせるのに最適な気温が 14 ~ 16 度くらいで、気候的に涼しくなる秋は、読書や芸術に触れるのに適した気候といえることから「読書の秋」「芸術の秋」などと謳われるようになったそうである。
 例えば、耳が遠くなる老人性難聴は、一般的に感音性難聴という症状であることが多く、この「感音性難聴」は、内耳や聴神経、脳の障害によって起きることが多いそうだ。これに対して、「脳が本来持っている“聞く力”を呼び覚ますこと」と「耳周辺の血行を促進すること」ができれば、聴力は改善するとした研究がある。
 「音は、耳と脳の共同作業で聞こえている」。つまり、音を聞き取る上で、耳と同じくらい脳の役割が大きいようだ。感音性難聴になった場合は、耳自体の機能低下だけでなく、脳の「聞く力」が弱まっている可能性についても考慮する必要があるとのこと。ただしこれは、訓練によって改善が見込めるとされ、5,000Hz ~ 16,000Hz 程度の高周波数の音を意識的に聞き続けるのが効果的だとしている。鈴虫の鳴き声は、この程度の高周波数の音に類似しており、脳が心地よく感じる刺激を与えることができるとされる。
 現在、製薬産業を含めて多くの産業から、様々なヘルスケアサービス、製品が生み出されている。
人の健康長寿に効果的なアプローチは、“昔から当たり前にあった自然”なこと(もの)、そして、“心地よさ”の中にも多くのヒントがありそうだ。

 

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