令和2年度薬価制度改革について
1. 議論の経緯
令和2年度薬価制度改革については、(1)平成30年度改定における付帯意見等、(2)これまでに問題提起された事項等、(3)その他薬価算定組織や関係業界から提起された事項等を踏まえて、令和元年6月から厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)の薬価専門部会・総会で議論が開始され、2回の業界意見陳述を経て、令和元年12月20日に「薬価制度改革の骨子」、令和2年1月22日に「薬価制度の見直しについて」がそれぞれ了承され、令和2年2月7日に「薬価算定の基準について」が通知されました(議論の経緯は、図1参照)。
そこで、改定内容について後発医薬品に関連する改定項目を中心にお示しいたします。
2. 薬価制度改革の骨子
1.後発医薬品の薬価の在り方
(1)新規後発品の薬価算定
算定ルールの変更はなく、先発医薬品の0.5掛け(内用薬については、 銘柄数が10を超える場合は、0.4掛け)とされました。ただし、乖離率や安定供給への対応等を踏まえて引き続き検討することとされました。
また、後発バイオ医薬品(バイオAG)については、適正な競争環境を維持するという観点からバイオ後続品と同様の扱い(先発医薬品の0.7掛け)とされました。
(2)既収載後発品の価格帯
改定後の薬価が改定前の薬価を上回ることの無いよう、価格帯集約ルールが大幅に変更されました。
1)改定後の価格帯(最高価格の50%以上となる後発品、30%以上かつ50%を下回る後発品、30%を下回る後発品)毎に加重平均を行うが、改定前の上位の価格帯に相当することで薬価が引き上がる場合は、改定前の価格帯に据え置く。
2)上位の価格帯から降りてきた品目との加重平均により、改定後の薬価が改定前の薬価を上回る品目については、それらの品目のみで加重平均を行う。
なお、今回の価格帯集約ルールの変更により最大5価格帯が想定されましたが、3月5日に告示された「薬価基準改定の概要」では、4価格帯(成分規格数2)であったことが示されました。詳細は、下記をご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000613996.pdf
(3)G1品目又はG2品目に係る後発品の価格帯(最初の後発品が収載されて12年経過後)
1)G1品目に係る後発品については、市場から撤退する予定のG1品目に係る後発品のうち増産対応を行わない後発品のみで加重平均を行い、その価格が改定前薬価を上回る品目がある場合は、改定前薬価を上回る品目と改定前薬価以下の品目それぞれで、改めて加重平均を行う。
2)G2品目に係る後発品については、対象となる全ての後発品で加重平均を行い、その価格が改定前薬価を上回る品目がある場合は、改定前薬価を上回る品目と改定前薬価以下の 品目それぞれで、改めて加重平均を行う。
なお、改定前薬価を上回る品目がなく1価格に集約されたものは、統一名収載されることとなりました。
2.長期収載品の後発品価格への引き下げ
後発品上市後10年を経過した長期収載品の後発品価格への段階的引き下げ開始時期については、令和2年度薬価改定以降の薬価改定において後発品置換え率が80%以上であったもので、それ以降の薬価改定において改めて後発品置換え率が80%以上であることが確認された品目は、後発品上市後10年経過する前であってもG1ルールが前倒しで適用されることとなりました。
なお、令和2年度改定で上記に該当する品目は86品目です。詳細は、下記をご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000604017.pdf
また、バイオAGが収載されたバイオ先行品についても、G1/G2ルールが適用されることとなりました。
なお、「薬価算定の基準について」は、下記をご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000593956.pdf