編集後記
みなさんは、「Clap for Carers」をご存知だろうか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴う“緊急事態宣言”が4月7日に7都府県に発令されてから2週間近くが過ぎようとしている。また、同16日には対象地域が全国へ広げられ、深刻さは増すばかりだ。
今の状況がいつまで続くのだろうと不安を感じると同時に、3月から続く外出自粛や一斉休校といった通常とは違う生活にストレスが限界近くになってきている人も増えているのではないかと感じる。おそらく、本号が発刊される頃になっても国民が強いられている状況は今とそれほど変わらない…そんな気がしてならないのは私だけであろうか。
さて、話を元に戻すが、「Clap for Carers(医療・介護従事者に拍手を)」というキャンペーンが欧米を中心に広がりをみせている。元々は感染拡大が深刻な状況にあるイタリア、フランス、スペインにおいて、医療現場で奮闘する医師や看護師、薬剤師らに感謝の気持ちを示そうと市民が一斉に拍手をしたことが始まりらしい。
私はニューヨークに住む友人から初めてこの話を聞いたのだが、ニューヨークでは医療・介護従事者だけでなく、人々の生活や街の安全のために新型コロナウイルスと闘いながら最前線で働く人たち(警察官、消防士、銀行員、食料品店の従業員、地下鉄メトロ従業員、トラック運転手など)へ向け、拍手や歓声をおくる「CLAP for NYC」がムーブメントとなっているのだそうだ。バルコニーや屋上、窓から身を乗り出した何千人もの市民からの感謝の意を込めた拍手や歓声、カウベルの音、鍋をたたく音などが、3月27日午後7時一斉に鳴り響き、この日以降、毎晩自主的に続けられているそうである。
私の友人も娘さんと一緒に自宅で参加し、外出禁止でストレスを感じていたが、とても爽やかな気持ちになり、大変感動を覚えたとコメントを送ってきてくれた。
日本と海外では事情も文化も違うので、同じことをするのは難しいかもしれない。
ただ、ニュースなどでも取り上げられているように、規模や形式は違うが、日本でも少しずつその輪は広がりつつある。人との接触を自粛しなければいけない今だからこそ、心のふれあいや共感できる思いというのが大切なのではないかと感じる。コロナ禍が早く終息してほしいと願う気持ちが皆同じであるように、この危機を乗り越えるために人々が思いをひとつにする、それこそが今、必要なことなのではないだろうか。
笑顔で過ごせる日常が一日でも早く戻ってくるように。
※4月20日現在の情報を元に掲載。