新しい生活様式の始まり
厚生労働省より、新型コロナウィルスを想定した「新しい生活様式」の実践例が公表された。感染防止の基本は、(1)身体的距離の確保、(2)マスクの着用、(3)手洗いなどで、個人生活で気を付けることはこれまでの延長線上である。
(1)身体的距離の確保については、できるだけ2m(最低1m)空ける、と初めて具体的な数字が明示され、とても分かりやすくなった。緊急事態宣言下で盛んに用いられた「3密」という言葉は、受け取り手によって解釈が異なる余地があり、混乱に拍車をかけていたのではないかと懸念していた。感染予防策の知識なので、大人でも子どもでも誰が読んでも、誤解なく理解できることが大事である。
(2)マスクの着用については、冬場のマスク着用はコロナ以前でもお馴染みであったが、夏場の着用は新しい試みである。高温多湿な真夏向けのマスクが開発されるかもしれない。とはいえ、あらゆるマスクが店頭から消え去った2月中旬から3か月ぶりにやっと、不織布マスクがドラッグストアやスーパー店頭に戻った。手持ちマスクの在庫枚数にびくびくすることなく着用できるようになって心から安堵している。
(3)手洗いについては、20 秒以上かけた泡立て手洗い方法をすでに習慣化している方も多いのではないだろうか。ところが、マスク狂騒曲が一段落した今になり、にわかにハンドソープが売り切れてしまい、店頭から一斉に姿を消している。が、固形石鹸は相変わらず売っているので、落ち着いて対応できる。また、手指消毒に使うエタノール消毒液もまだ入手困難だが、各地の中小酒造メーカーが続々と高濃度アルコールを生産・販売を開始したお陰で、各家庭においても手指からドアノブの消毒まで出来るようになっている。
こうしているうちに今年も半分が過ぎようとしているのだが、2020 年は輝かしいオリンピックイヤーになるはずであった。このような世界的パンデミックに見舞われるとは誰が予想し得たであろうか?明るいニュースを見つけるのが難しい日々が続くが、我々は間違いなく後世に残る歴史の真ん中に立っているのであろう。
将来を知ることは過去を知ることとの思いから、カミュの古典名作「ペスト」(新潮文庫)を注文してみた。ネット書店では電子版のみ購入可能で、紙媒体は長らく売り切れていたのがやっと届き、奥付を見ると令和 2 年 4 月 25 日 90 刷とあった。前回の日付が平成 16 年となっているので、得体の知れない感染症に対する不安から注文が相次ぎ、十数年ぶりの増刷に踏み切ったようだ。
最後に、今この瞬間も全国の病院で新型コロナウィルスの治療にあたっている医療従事者の方々、ステイホームを支えてくれる小売・物流・公共交通機関などライフラインを担うエッセンシャルワーカーの方々にあらためて心からの謝意を申し上げたい。