高付加価値製剤の追及と事業環境への対応について
当社では、創業以来、「求めるものは、求められるもの」という基本コンセプトを掲げ、「品質」や「高付加価値製剤」にこだわった製品づくりに努めてまいりました。
この10年間は、ジェネリック医薬品のシェア80%時代の到来を見越した積極的な投資を進めております。2014年には「製剤技術総合研究所」を稼働させ、高付加価値製剤の研究開発を担うべく環境整備を行いました。生産投資としては2011年の清間第一工場の竣工に続き、2016年には固形製剤を生産する清間第二工場を稼働、ロボット化によるヒューマンエラーの防止、ローコストオペレーションの実現、需要拡大に備えるべく安定供給体制の強化を図って参りました。2012年には抗がん剤領域の製品ラインアップ強化に向け、ハザード物質完全封じ込め性能を有するオンコロジーセンターも新設しております。
その他にも、総合物流センターや、信頼性保証センターの新設、2018年には建物の消費エネルギーゼロを目指した「ZebReady」の新本社棟を竣工、2020年現在も固形製剤の安定供給に向けた工場の拡張や、注射剤新工場の建設にも着手しております。このように、毎年のように新たな研究所・工場などを建設しハードの強化に努めて参りましたが、「設備投資の時代」は2023年には一旦は完了する見込みです。
ハードの強化とともにソフト面での強化も欠かせません。近年では年間100名程度の採用も継続しております。設備投資がほぼ一巡する中で、困難な課題に対して果敢に立ち向かう人材を育成していく必要があると感じています。基幹システムやLIMS、MES導入などのIT化を進めるとともに、経営管理の強化にも注力を果たして参りました。
こうした中、当社では、2020年1月末にオリックス株式会社と業務資本提携を結び、新たな一歩を踏み出しました。我が国の医薬品市場は、不透明な、激動の時代に入ってきていると感じています。環境変化に対応するためには、新規事業への進出や海外への事業展開を図っていく必要があると考えます。またリーガル面やガバナンス、コンプライアンスの対応、企業としての内部統制の強化が求められていく中、単独で事業を展開できる時代ではなくなったという感覚があります。そこで当社が不足している領域については、オリックスグループが有する事業基盤を活用し、様々な課題を解決していくことができると判断し、業務資本提携のスキームを組みました。
現在オリックスからは取締役・監査役4名が常駐し、大所高所のみならず細微に至るまで、日々厳しい指導を受けております。社内での重要会議はもちろん、部門内の会議にまで出席を行い、事業活動における課題抽出と解決策を当社従業員と一緒になって考えてもらっています。最初はオリックス流の仕事の進め方に戸惑っていた従業員たちも、彼らのやり方に徐々に順応しつつあると感じています。この10年間当社が投資してきたハード・ソフトが、オリックスのノウハウと相俟って、より大きな効果を生み出すものと期待しています。
「富山の薬売り」であった初代の社長が、福井で有志と「福井県製薬所」を立ち上げたのが1946年、二代目社長が医療用医薬品事業の展開のために1961年に設立したのが「小林化工株式会社」です。来年12月には創業75周年を迎えることになります。医師、薬剤師、看護師、並びに製薬企業、販社、卸の皆様方の長年にわたるご支援に感謝申し上げるとともに、引き続き患者さまへの貢献を目指して、全社一丸となって取り組んでいく次第です。