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月刊JGAニュース

編集後記  

 皆様、新年明けましておめでとうございます。
 初めに、年末年始も新型コロナウイルス対応でご尽力いただいた医療関係者の皆様に心より御礼申し上げます。都市部を中心に感染が急拡大する一方で特にマンパワーを中心に医療資源が限られる中で力を尽くしていただいていることに最大限の敬意を表します。
 昨年を振り返るとき、この新型コロナウイルスに関して言及なしでは語れない。1 月に外務省から中国湖北省、武漢市にける新型コロナウイルス発生に伴う感染症危険レベルの引き上げと、これに伴う不要不急の渡航自粛の報道発表に始まり、このウイルスは世界中に広がることとなった。当初日本では海外からの報道にみられるような陽性反応を示す患者数も多くなく、病院内で急激に症状が悪化し亡くなるというケースも諸外国と比較して稀であった。しかし、日が経つにつれ、患者数は急増、連動して重症患者数も増え、医療体制もひっ迫することとなり、4 月には非常事態宣言が発出されることとなった。
 この非常事態宣言により、商業施設やレストランなどは軒並み休業、通勤する人たちも出勤を控え在宅へと変わり、街からは人影が消え、東京都心も静まり返ることとなった。非常事態宣言と共に、日常的にマスクをすることや部屋に入る時に靴を脱ぐこと、他人との距離を保つなど日本人の習慣が寄与したといわれる中で、陽性者数は減り、5 月末には緊急事態宣言は解除され、日常が戻ってきたと思われた。しかし海外では陽性者数は増加の一途をたどり、死亡者数も急増した。執筆をしている 12 月下旬でも、欧米を中心に陽性者に加えて死亡者の数も拡大を続けている。
 一方で、ワクチン開発がこれまででは考えられない速さで進み、欧米では当局からの承認を得て接種も始まった。同時にウイルスの変異が進み、これまでに比べて感染力の強い変異種が出現しているという。現在は特定地域だけでの発現との報道だが、これからどのように広がっていくかをモニターしていく必要に迫られている。またワクチンの効果や重症化の可能性など、これから解明していかなくてはならないことは山積している。
 医療提供体制崩壊の危機など、これまではあまり耳にすることがなかった言葉に恐怖を覚える。体調が悪い時はもちろん、健康状態に不安を感じる時に受診をして、症状に応じた薬を処方してもらう、という今まで日常的にしていた活動が制限され、緊急度の高いけがや疾患でもすぐに診てもらえない可能性が出てきているということだ。そのような状況においても、高い使命感を持ち、未知のウイルスに対して日夜身を粉にして尽力している医療関係者に思いを馳せるとき、これほどまでに予防や医療提供体制を自分事として考え、行動したことはなかったのではないかと考える。
 今年 4 月には診療報酬に関して初めての中間改定が導入されることとなる。少子高齢化が叫ばれ、新型コロナウイルス感染症のような未知の疾患が出現した環境においても、日本が世界に誇る国民皆保険制度を維持し、誰もが必要な時に適切な医療を受けられるために、自分が出来ることは何かを考え行動する時と強く感じる。   

(KT)
 

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