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月刊JGAニュース

ニプロ株式会社  

 この原稿を書いている最中、1都3県に対して緊急事態宣言が再発令されました。COVID-19に対するワクチンの承認に向けて審査が行われており、感染制御に向けた一筋の光も見えていますが、予断を許さない状況です。一日も早く感染拡大を抑え、世界中の人々が安心して生活できる日々が迎えられるよう、祈っています。

 ニプロの創業は1947年、電球再生事業でスタートし、1954年に日本硝子商事(株)(現ニプロ(株))を設立しました。設立以降、医療機器を皮切りに医療分野への事業拡大を進めて参りました。今日では医療機器、医薬品、硝子そして再生医療を取り扱う総合医療メーカーとして着実にあゆみを進めています。

 ニプロは設立以来、「意欲」を社是として医療ニーズに応える商品、技術及び事業の創造革新を進めてきました。総合医療メーカーであるメリットを活かして医薬品と医療機器を組み合わせたキット製品、例えばシリンジに薬液を予め充填したプレフィルドシリンジ製剤を医療現場に供給することで、医療ニーズを満たしていると自負しています。これらキット製品は、コンビネーション製品とも呼ばれます。 
 2014年の法改正で医薬品たるコンビネーション製品の機械器具部分において発生した不具合を報告することが義務化されました。医薬品部分の副作用等報告はこれまでも行ってきましたが、機械器具部分(上述した例ではシリンジ)の不具合報告は、医薬品を取り扱う部門においては未知の領域でした。一方、医療機器を取り扱う部門においては医療機器の不具合報告は通常業務として取り扱っていたことから、医療機器部門のノウハウを活用する事で比較的スムーズに法改正対応を進めることができました。これも総合医療メーカーであるニプロの特徴だと思います。無論、医薬品の不具合はゼロであることが望ましいので、たゆまぬ品質改善を行うと共に、不具合発生を回避するため医療関係者へコンビネーション製品を適切に取り扱って頂けるよう、情報提供活動を行っています。

 コンビネーション製品に限らず全ての医薬品は、医薬品情報に基づき適正に使用されてはじめて本来の目的が達成されます。医薬品の適正使用に関する最も基本的な文書は、皆さんご存じの「添付文書」です。添付文書を取り巻く制度はこの6,7年で大きく変化しました。詳細をここで述べますと最早、会員会社だよりの体を成しませんので、詳細はJGAニュースのNo.146とNo.153の「知っ得!豆知識」をご参照頂ければと思います。キーワードだけ申し上げますと、「薬物動態、臨床成績、薬効薬理の記載内容の充実」と「添付文書の電子化」の2つです。これらのイベントは、ジェネリック医薬品を製造販売する我々にとって大いなるパラダイムシフトであり、情報提供の在り方が大きく変わることとなりますが、「OneNipro」のスローガンのもと、総合力を発揮して対応を進めて参ります。

 ジェネリック医薬品に限らず医薬品産業界は今、これまで築き上げてきた医薬品に対する信頼が崩壊しかねない危機的な状況となっています。ユーザーニーズをかなえる医薬品を、品質を確保し、適正な情報を伴って、安定的に供給する。この基本に立ち返って、業界挙げて信頼性の回復・向上に努め、医療に貢献して参ります。

 

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