EN

月刊JGAニュース

編集後記  

 日差しの暖かさに花粉の匂いが混じり、春の訪れを感じる。本来であれば満開の桜を待ちわびるこの季節も、未だ終息の見えない新型コロナウイルスの影響で、人々の心に影を落としているように思える。

 人々の生活が一変し、すでに一年以上が過ぎた。数えきれない不安やストレスと向き合う中、変化を受け入れ、新たな気づきや挑戦を始めた人も多いはずだ。

 「変化に対応していける者が生き残る」というダーウィンの進化論は、近年では「実はそんな事言っていない」説が有力だそうだ。しかし、新しい環境への適応力や柔軟な思考は、進化論の是非を差し置いても、人類にとってとても大切なことだと思う。それらが様々な発展を生んできたことは歴史的にも明白だ。

 私も昼食時、袋麺を用意しながら環境の変化による一つの気づきを得た。在宅勤務の影響で、昼食を家で食べる事が増えた。妻に愚痴を言われぬよう自分で用意する。ふと栄養成分表示を見ると、塩分が恐ろしく高い。

 今までは、家でも店でも調理されたものを美味しく頂くだけだった。塩分たっぷりのスープも、何の疑問も持たずに体内に取り込んできた。在宅勤務が増え、昼食を自ら用意する機会を得たことで、自分の食生活を見直す事となった。新たな環境に戸惑いつつも、思いがけず生じたこのプラス。これこそまさに、変化の時こそ人は発展していくという私の小さな気づきである。

 この状況下、不安な事は数えきれないが、希望はあるはずだ。手洗い、うがい、消毒の徹底。不要不急の外出を控える。小さくても良い。一人ひとりに意識の変化、行動の変化が広がれば世界は変わる。そしてその先には新しい発展が待っている。その時は必ず来るはずだ。

 去年の桜は覚えていない。今年の桜はどうだろうか。発展という希望が見えた今なら、満開の桜を期待し、塩分控えめの肴とともに春を楽しみたい。

(S.I)
 

PDFでご覧になる方はこちら