12月の追補収載、レベチラセタムに各社集中 新たな念書ルールも導入
12月の追補収載に向けて各社が承認申請していたジェネリック医薬品が8月に厚生労働省によって承認された。配合剤も含めて12の新規成分が承認された今年2月に比べるとやや少なく、新規成分は6つ。そのうち承認取得企業が2桁を超えたのは抗てんかん薬「イーケプラ」のジェネリック医薬品であるレベチラセタム1つにとどまった。
レベチラセタムには14社が集中した。14社の品目数は44に及び、剤形は錠、ドライシロップ、点滴静注のほか、先発医薬品にはないOD錠を陽進堂と辰巳化学、粒状錠を沢井製薬が取得した。
他5つはいずれも少数企業による参入で、肺動脈性肺高血圧症治療薬アンブリセンタン(先発品名「ヴォリブリス」)を沢井製薬と共創未来ファーマの2社が取得。他はすべて単独で沢井製薬が抗リウマチ薬イグラチモド(「ケアラム」)、武田テバファーマがアレルギー性鼻炎治療薬フルチカゾンフランカルボン酸エステル(「アラミスト」)、トーアエイヨーが不整脈治療薬ソタロール塩酸塩(「ソタコール」)、日本化薬が制吐薬ホスアプレピタント(「プロイメンド」)の承認を取った。
また、成分としては初ではないが、抗アレルギー薬のオロパタジンは「パタノール」のジェネリック医薬品として点眼液の剤形で初承認された。同剤の承認は11社が取得した。
●審査厳格化、安定供給の新ルールも
ジェネリック医薬品メーカーで相次いだ不祥事を受け、厚労省は7月に今年3月以降に承認された品目の審査を厳格化する通知を出した。同通知は共同開発品の申請において、「親」となる開発主体企業のデータへのアクセスが可能で、信頼性を確認できる規定が記載された契約書、各種試験結果の信頼性を確認したことを説明する資料などの提出を求めることとした。あわせて共同開発品以外でも、製造品目の追加に伴い、生産計画に見合った適切な製造体制が取られていることを確認し、場合によっては指導を行うことをアナウンスした。これらを踏まえた確認が、今回の審査から一部の品目で実施された。
厚労省は7月に、収載に向けた新たなルールの導入も発表した。今年12月の収載から、過去5年以内に収載した製品で欠品、出荷調整、回収などで供給不足を発生させた製造販売業者に対して、厚労省は「新たに同様の問題を起こした場合に収載を2回見送る」と記した念書を提出させる。2006年に発出された「発売後5年間は継続して製造販売する」ルールと、20年12月の収載から導入された「直近2回の収載で出荷調整などを発生させた企業に対して、新規収載品目でも供給問題を起こした場合に次回の収載を自発的に見送ることが記載された念書を提出する」ルールを掛け合わせたような安定供給のための取り決めだ。
現在、ジェネリック医薬品メーカーは自主的に製造体制の点検を行うなど安全性の証明に努めており、官民で信頼性確保に取り組み、医療関係者や患者からの厳しい目に応えようとしている形だ。