『私の時代にはなかった派手なスパイク』
東京オリンピックに感化されて、久しぶりにジョギングをしようと近所の公園にでかけた。ご想像の通り、体力を通して残酷なまでにも厳しい現実が私に突き付けられた。早々にウォーキングに変更した。すると、少し周りをみる余裕が生まれた。公園併設の運動場で小学生のサッカーの試合が開催されていた。小学 1 年からサッカー少年団に所属し、本気で全国大会出場を目指していた私の足は自然ととまった。毎朝登校前に朝練をし、下校後は夕練と称し体育館で練習していた。登下校を含め自宅と学校を 3
往復する生活を送っていた。週末は試合のための遠征とまさにサッカー漬けの毎日であった。そんな毎日に親もよく付き合ってくれたものだと、社会人になった今だからこそ、その苦労が理解できる。そんなサッカー漬けだった毎日を目の前の少年サッカーの試合が、久しぶりに思い返させてくれた。
一方、今の少年サッカーが、私が青春を謳歌していた時代とは幾分異なることに気が付いた。まず、そもそも人数が少ない。最近の少年サッカーは 8 人制がメジャーになっているようである。また、選手交代で一度フィールドを離れた選手が再度、交代して出場していたことも大きな違いであった。全国規模の少年サッカー大会ホームページでルールを確認したところ、ベンチ要員 8 名という制約はあるものの、その交代の回数に制限はないようである。私がサッカーをしていた頃は、“交代する”=“もう試合にでられない”であったため、ベンチで控えの選手が準備を開始すると、交代されたくない一心で、大きな声を出してチームメイトを鼓舞したり、ボールを全速力で追いかけたりしてアピールしていたものだ。
最も驚いたことは、スパイクの派手さであった。私の時代は黒が基本だ。スパイクの両サイドのロゴが黄色のラモス瑠偉モデルを見るだけで、超派手でカッコイイと感じた時代であった。但し、そういった“特殊な”スパイクを履くためには、それ相応の実力が伴っていないと逆にダサいという雰囲気があった。今のスパイクはベースとなる色が銀、黄、赤、青、ピンク等々、その多様性にビックリした。実力に関係なく、用具やそのデザインを選ぶこともスポーツの楽しみである。何より、少年達がサッカーを楽しんでいる様子は“私の時代の考え方”を強いることに何の意味もないことを感じさせた。
8 月に閉幕した東京オリンピックでもスケートボードや 3 x 3 が正式種目として採用された。正直なところ、これらはスポーツなのか?という第一印象を持ってしまったが、選手が懸命にパフォーマンスし、それを称賛するオーディエンスがいることは紛れもない事実であった。スパイクの色と同様にスポーツの枠組み、更には社会の考え方は時代と共に変化する。そして、その変化に耳を傾けていくことが重要だ。
次のパリオリンピックでは、ブレイキン(ブレイクダンス)を一番の楽しみにしている。