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月刊JGAニュース

長生堂製薬への業務停止命令で再確認自浄作用と監査機能強化の重要性  

株式会社じほう
日刊薬業編集部
大塚 達也

 安定性試験結果の不適切な処理や、承認された製造書と製造実態の齟齬があったとして、長生堂製薬が10月11日、医薬品医療機器等法に基づき徳島県から最大31日間の業務停止命令などの行政処分を受けた。一部品目では10年前から製造上の不正が存在していたことも明らかになっており、製薬業界にとっての自浄作用と監督官庁における監査機能強化の重要性があらためて示される形となった。

 長生堂製薬は製造所の自主点検で31品目に安定性試験の不備があったことを5月24日に公表した。同時期に徳島県から立ち入り調査を受け、のべ44品目に承認書と製造実態の齟齬があり、のべ189品目に記録上の誤記載などの軽微な不備があることが見つかった。10年前から製造上の違反が存在した品目もあった。そうした事実によって徳島市内の3工場に18~31日の製造業務停止、本社に31日の製造販売業務停止の処分が下された。

 ジェネリックメーカーが受けた業務停止命令としては小林化工、日医工に次いで今年3社目で、安定供給や法令順守といった課題がまたも浮き彫りになってしまった。ただ、一応留意すべきは今回の長生堂製薬の問題は先の2社の不祥事を受けて、業界全体で信頼性確保のために取り組んだ製造所の自主点検によって発覚したことだ。長きにわたり不正があったこと自体は到底許されるものではない。それでも、自主的なディスクローズによって不正を排除していく機会となったことは、多大な痛みを伴いながらも将来的な信頼性獲得に向かう最初の一歩にはなった形だ。

 一方、徳島県は適合性調査を含めれば年間2回程度のペースで同社の製造所に立ち入り調査を行っており、無通告での査察も実施してきた。だが、不正な製造方法が書面ではなく口伝で引き継がれていたり、製造記録に承認書通りの製造を行ったと虚偽の記載がなされていたことなどもあり、これまで違反を見抜けかった。

 もちろん行政サイドも再発防止を目指して動き出している。厚生労働省は小林化工に業務停止命令が下された2月9日、医薬品製造所への無通告立ち入り検査強化の要請通知を各都道府県に出した。その後、6月から7月にかけて、沖縄県を除く46都道府県で各1施設に薬事監視員が無通告で立ち入り検査を実施した。結果、承認書と製造実態の齟齬が見つかったのは愛媛県内の一般用医薬品企業のみで規格外試験の不適切な処置を行っていた製造所はなし。安定性試験に関しては軽微なものを含め指摘が10件、適正な人員体制に関する指摘は8件だった。

 この一斉立ち入り検査は各都道府県担当者の調査手法改善も目的に、厚労省が作成している無通告査察ガイドライン案を導入しながら全国で実施された。それらの結果を踏まえて本格的な査察ガイドラインが作成される見通しだ。徳島県も今後ガイドラインを取り入れて査察強化に取り組むとともに、問題が発覚した長生堂製薬に対しては早期に不正事案を改善させるよう厳格に指導していく意向を示している。

 信頼を獲得するには、企業側による自主点検や事業見直しと行政側の査察強化という、性善説と性悪説の組み合わせでもって、全国においてそれぞれが地道に安全・安心を訴えていくしかない。

 

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