今夏の組織改編で「経済課」が改称 48年続いた名称に幕
日刊薬業編集部
大塚 達也
医薬品産業振興を担う厚生労働省医政局経済課が今夏をめどに行われる組織改編に伴い、改称されることになった。新たな名称は「医薬産業振興・医療情報企画課」を予定し、48 年続いた「経済課」の名前がなくなる。
医政局の組織改編は、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえて 2021 年 6 月に閣議決定された「ワクチン開発・生産体制強化戦略」に基づき実施される。同戦略では、今後新たな感染症が流行した時に備えて、ワクチンや治療薬を開発する企業を支援し、原材料や資材の国産化促進、製品の備蓄、承認後の確保に向けた企業交渉などを行う体制を現行の医薬品規制部門とは別に構築する方針が示された。
ワクチン・治療薬開発に加えて、医療データの利活用も推進するべく、局内に医薬産業振興・医療情報審議官のポストを新設。経済課改め医薬産業振興・医療情報企画課はその筆頭に付く。ただ、所管の業務が従来と大きく変容することはないもようだ。
審議官の下にはほかに、同時に新設される参事官(特定医薬品開発支援・医療情報担当)と、現・研究開発振興課から改称する研究開発政策課(仮称)が付く形だ。さらに大臣官房企画官(医薬産業振興・医療情報担当)も設置される。
新設の参事官ポストは、経済安全保障の観点にも立ち、安定的な国内供給が可能な医薬品を企業が開発できるよう支援する。薬事承認や臨床試験の運営などを支援する、企業の伴走者的な役割を担い、同時に医療データの利活用も進める。
●1974 年、企業課が経済課となって誕生
経済課の前身は 1949 年に設立された薬務局企業課で、1974 年、その企業課が経済課に改編される形で誕生した。1997 年には医薬品の産業振興と規制をより明確に区別するため、経済課は健康政策局に移管され、2001 年に厚労省が発足した際に研究開発振興課と共に医政局に改編された。
産業政策の立案や流通の統制など医薬品事業における重点的な領域を担う経済課は、製薬業界にとって行政への「報告・連絡・相談」の窓口的な役割も果たしている。長年にわたって存在感を発揮してきただけに、業界関係者にとっては改称後もしばらく違和感が残るかもしれない。