オンライン服薬指導について
令和4年度診療報酬改定においてオンライン服薬指導が服薬管理指導料に位置付けられ、服薬管理指導料の要件及び評価が見直されました。
オンライン服薬指導のオンラインとは
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、薬機法)第9条の4において「映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることが可能な方法その他の方法により薬剤の適正な使用を確保することが可能であると認められる方法として厚生労働省令で定めるもの」とされております。
オンライン服薬指導の経緯
もともとは、「薬剤を販売又は授与する場合には、その適正な使用を確保するため、薬局開設者が、その薬局で販売又は授与に従事する薬剤師に、対面により、服薬指導(薬剤の適正な使用のための情報の提供及び必要な薬学的知見に基づく指導をいう。)を行わせなければならない」1)とされ、対面での服薬指導が定められておりました。
第2次安倍内閣の下、産業の競争力強化を目的として平成25年6月14日に閣議決定された『日本再興戦略-JAPAN is BACK-』の平成27年6月30日付2015年改訂-未来への投資・生産性革命-の際、遠隔診療のニーズに対応するため、医療機関や薬局といった医療資源が乏しい場合の薬剤師による服薬指導の対面原則の例外として、国家戦略特区においては実証的に、対面での服薬指導が行えない場合にテレビ電話を活用した服薬指導を可能とする法的措置を講ずるとされました。
平成30年6月14日の国家戦略特別区域諮問会議において、離島・へき地に居住する者に対する愛知県、兵庫県養父市及び福岡県福岡市における遠隔服薬指導の実施に関する計画が認定されました。そして、2019年12月4日公布の改正薬機法により、全国で実施が可能となりました。改正薬機法は2020年9月施行を予定しておりましたが、令和2年4月7日閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」の中で、非常時の対応として、オンライン・電話による服薬指導が希望する患者によって活用されるよう直ちに制度を見直すとされ、時限的・特例的な対応として電話や情報通信機器を用いた服薬指導等が認められました(いわゆる0410対応)2)。
改正薬機法によるオンライン服薬指導が可能となる中で、時限的・特例的な0410対応となったこれまでの経緯を踏まえ、令和4年3月31日改正省令が施行され、現在に至ります。本原稿執筆時点(2022年6月末)において、0410対応は時限的・特例的な取扱いは継続されております。時限的・特例的な取扱いは新型コロナウイルス感染症の感染が収束するまでの間とされ、感染の収束の定義については、今後専門家も交えて議論が必要であるが、院内感染のリスクが低減され、患者が安心して医療機関の外来を受診できる頃が想定されるとされています3)。令和4年3月31日改正省令により、オンライン服薬指導は0410対応により近いものとなりましたが、完全に同じものではありません。
調剤された薬剤の薬局からの配送
オンライン服薬指導や0410対応で服薬指導を受け調剤された薬剤は、当然ながら、確実な授受の確認、品質の保持(温度管理を含む)が求められますが、大手物流業者による配送サービスやコンビニエンスストアでの授受、宅配ロッカーの活用など様々なサービスが提供されております。
<引用>
1):改正前の薬機法第9条の3第1項
2):事務連絡令和2年4月10日 新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を 用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて
3):事務連絡令和4年3月31日 「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いに関するQ&A」の改定について(その2)