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月刊JGAニュース

品質確保や安定供給に向け、GE・BS学会が新たな提言  

株式会社じほう
報道局日刊薬業編集部 大塚 達也 氏

 日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会が4月、「ジェネリック医薬品の品質・安定供給の新たなステージを目指して」と銘打った5つの提言を発表した。そこでは、普及の数量目標を廃止する代わりに品質管理や安定供給の実現を目標として掲げることや、収載のハードルを上げることなどを提案した。
 提言は同学会の制度部会や理事会によってまとめられたもので、▽ジェネリック医薬品の使用促進の数量目標の廃止と品質・安定供給策への転換▽薬価差のさらなる解消▽流通改善ガイドライン(GL)の順守▽バイオシミラー(BS)のさらなる普及▽都道府県別フォーミュラリの導入―の5つで構成される。
 数量目標の廃止については、普及の目標を現行の「2023年度末までに全ての都道府県で80%以上」の維持にとどめて、24年度以降は数値目標を置かない。代わって「品質管理・製造管理」「安定供給」の推進と実現を目標とする。診療報酬や調剤報酬における加算も「役目は終えた」として24年度改定以降は廃止し、逆に80%未到達の減算措置などを導入する。
 品質管理・製造管理や安定供給に取り組む企業を評価する加算制度も創設する。過当競争を軽減する観点からも、1品目あたりの保険収載企業を各社の製造能力や製造計画に応じて限定するなど、参入のハードルも上げる。
 薬価差の解消に向けては、海外先進国の事例を参考に▽病院外来における包括支払い制の拡大▽ジェネリック医薬品の価格を標準価格とする参照価格制度の導入▽医薬分業のさらなる推進▽保険薬局における公定マージン制度やクローバック制の導入―などを検討する。
 流通改善GL関連としては、医薬品の価値を無視した総価取引から安定確保医薬品を除外するよう求める。医薬品カテゴリーや地域差、配送回数に応じた流通コストも算出し、バイオ医薬品からジェネリック医薬品まで価格の異なる医薬品を同じカテゴリーで流通させている現状を見直す。
 BSについては、▽普及目標として品目ベースではなく、薬剤費削減効果額を提示する▽高額療養費制度などで普及が進まない品目は患者自己負担分の減免を行う▽国内のBS製造企業やCMOなどの育成を進める―などの施策を実施する。
 都道府県別フォーミュラリは、一部地域で導入が始まっている地域フォーミュラリを都道府県フォーミュラリに拡張して定着させる。都道府県別のフォーミュラリを作成するためには都道府県別の医薬品情報システムが必要となるため、現在のオンライン資格確認制度による医薬品情報を都道府県別に収集できる仕組みを構築する。24年度からの第4期医療費適正化計画への都道府県別フォーミュラリ導入も提案する。
 産業構造全体や個社の不祥事などを由来とした深刻な医薬品供給不安や、相次ぐ薬価改定や原料・エネルギー価格高騰に伴う収益性の悪化、進展しない流通改善など、ジェネリック産業の問題は山積だ。厚生労働省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」の議論なども含め、産官学が連携しながら課題を解決し、国民の生命や健康に貢献していくことが求められる。

 

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