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月刊JGAニュース

「哲学」を持つ業界へ
~有識者検討会からの「報告書」で示された業界へのメッセージを踏まえ~  

 2022年8月から開催されてきた「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」から、2023年6月12日に「報告書」が公表された。
 本報告書では、第1章 医薬品産業を取り巻く現下の諸課題「足下で顕在化している供給不安」として3つ、「後発品産業構造上の課題」「薬価基準制度上の課題」「サプライチェーン上の課題」。第2章において、医薬品の迅速・安定供給実現に向けた対策の方向性「医薬品の安定供給の確保に向けて」として、「後発品産業構造の見直し」「薬価基準制度における対応」「サプライチェーンの強靱化」の3つが明記された。

 今やジェネリック医薬品は、国内における医療医薬品の約50%以上を占める。国、メーカー、医療関係者、保険者、そして、国民が一体となり、数量シェア80%を目指した“使用促進の時代”から、既にステージは大きく変わっている。
 今回、報告書のP5で、“後発品は医療上必要な医薬品として広く使用されている中で・・”という表現が使用された。
 80%時代に入るや否や、次々とジェネリック医薬品や業界への不信や不安、失望を招く事例が連鎖して起こり、現在は医薬品全体として、“供給不安”という課題を作り出してしまった。
 しかし、奇しくもこうした中で、今回初めて、国から“後発品は医療上必要な医薬品”という評価が公に示されたことを我々は重く受け止めなければいけない。
 ジェネリック医薬品メーカー各社、そして、業界全体を上げて、ここまで全力で駆け抜けてきたことは確かだと信じたい。一方で、本質的に足りていなかったものは一体何か?という問いを、今一度、真剣に悩み、考え抜くべき時であると思う。

 この機会に、改めて「社会保障制度の持続可能性への貢献」に加え、「社会インフラ産業」としての使命を全うすべく、当業界の一人一人、そして各社が、“ジェネリック医薬品の真の価値とは、、、、、”といった「哲学」を持ち、“ジェネリック医薬品を持続的に供給する責務”を断固果たす時代となる。
 そういう自社に、また、そういう業界に進化出来るか否かが、5年先、10年先、100年先も社会に必要とされ“生き残り続けるか否か”の分かれ道となる。この業界に従事する役職員全員が認識を新たにし、その中で、新時代を見据えた建設的なアクションを起こす「同志」が増えて行くことが、真の「産業構造の見直し」に繋がると信じている。

(T.T)
 

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