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月刊JGAニュース

年頭所感  

日本ジェネリック製薬協会
会長 高田 浩樹 氏

謹んで新年のご挨拶を申しあげます。

 まずは、元日に発生しました令和6年能登半島地震によりお亡くなりになられた方に謹んでお悔やみ申しあげますとともに、被災されたすべての方々に心よりお見舞い申しあげます。被災地域の皆さまの安全と一日も早い復興をお祈りいたします。

 平素より当協会の運営にご支援ご協力を賜り、厚く御礼申しあげます。
2020年末からの複数の医薬品企業の不適正な製造管理、品質管理に端を発した供給問題ですが、現在の供給不安の理由は多岐にわたり、複雑化しております。例えばロシアのウクライナへの軍事侵攻などの戦争・紛争や、想定以上の円安など、世界情勢が混とんとする中で、原材料やエネルギー価格の高騰が続き、サプライチェーン上の問題が顕在化しています。また、ウイルス感染症や冬シーズン前のインフルエンザの流行による鎮咳薬・去痰薬の不足など、様々な課題が複合的に重なり、結果として多くの医薬品の供給不安が依然として続き、患者様、医療関係者をはじめとする、多くの関係者の皆様にご迷惑・ご心配をおかけしております。供給不安の解消に向けて、会員各社におかれましては、新規設備投資や要員の増員、生産の効率化を図るなどして増産体制を構築し、また供給状況に関する最新情報を提供するなど、懸命な努力をしていただいていることと存じます。

 当協会では、本年度もジェネリック医薬品の信頼回復に向けた取り組みを継続してまいります。引き続き、コンプライアンス・ガバナンス・リスクマネジメントの強化とともに、品質と安定供給確保を最優先の課題として取り組んでまいります。また、上部団体である日本製薬団体連合会とも連携し、「医薬品の供給状況にかかる調査」を毎月実施し、よりタイムリーな情報提供に努めるとともに、「安定確保委員会」を設置、供給不安の原因分析と解消に向けた取り組みを進めるなど主体性をもって取り組み、供給状況の改善に尽力してまいる所存です。

 他方、2023年6月に厚生労働省「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」における報告書が取り纏められ、現状の課題を踏まえ、「産業構造上の課題」「薬価基準制度上の課題」「サプライチェーン上の課題」に対し幅広い議論の方向性が示され、それぞれの会議体において課題解決に向けた議論がなされました。産業構造上の課題については「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」が発足、薬価制度上の課題については中央社会保険医療協議会(中医協)において、後発医薬品を中心とした安定供給の課題を解消するため、後発医薬品企業の産業構造の転換を促すと共に、医療上必要性の高い品目の安定供給の確保に繋がる薬価上の措置について議論いただき、12月20日に「令和6年度薬価制度 改革の骨子(案)」が了承されました。この骨子は、私どもの要望を反映いただいたものであり、現在のジェネリック医薬品を中心とした安定供給不安を解消し、ジェネリック医薬品産業の産業構造の転換の第一歩になるものと考えております。具体的には後発品企業の安定供給を評価する企業指標と、それを薬価に反映する仕組みが試行的に導入されましたが、その検証作業には業界としても積極的に関与していきたいと考えています。この議論の過程で、今般の一連の不祥事及び供給不安の問題、当協会の信頼回復に向けた取組みに関する課題をはじめ、業界団体としての姿勢のあり方について、様々なご意見をいただきました。これらのご意見を真摯に受け止め、当協会として今後の取り組みに活かしてまいりたいと存じます。

 また、後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会や、医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会で継続してご議論いただいている内容についても、主体的に取り組んでまいる所存です

 私たちジェネリック医薬品企業は、単なる製造販売企業ではありません。人々の生命に直結し、保健衛生の向上に寄与する生命関連産業の一員であり、品質が担保され、「有効」 で「 安全」 な医薬品を市場に安定的に供給することが、私たちの社会における存在意義であると認識しております。患者様および医療関係者様に「安心」して使用いただけるジェネリック医薬品が安定的に市場に流通する状況を実現していきたいと考えております。

 本年が皆様にとって良い年になることを祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

以上
 

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