「第36回 医療用医薬品の流通改善に 関する懇談会」が開催されました
この度「第36回医療用医薬品の流通改善に関する懇談会(以下、流改懇)」が開催されましたのでご報告いたします。
厚生労働省から「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が順守すべきガイドライン」の改訂案の説明がありました。
改訂案については、①総価値引き交渉から医療上必要な医薬品を除く事。②価格交渉代行業者にもGLを遵守させる事。③一社流通の問題など主に3つの論点で議論がされました。
単品単価交渉を着実に進めるため、「特に医療上の必要性の高い医薬品として基礎的医薬品、安定確保医薬品(カテゴリーA)、不採算品再算定品、血液製剤、麻薬及び覚せい剤については、価格交渉の段階から別枠とし、個々の医薬品の価値を踏まえた単品単価交渉とすること。」の文言が盛り込まれましたが、これについて卸連から、「不採算品再算定の品目群」の価格交渉を円滑に進めるために厚労省から公表をお願いしたいと提案があり、製薬協・流通適正化委員会はこれに賛同を表明、当協会・流通適正化委員会の中沢委員長も賛同を表明しました。さらに、この公表については企業評価に関連するので、公表された場合は5年間以上の公表を維持していただきたいと提案し、厚労省からは今後検討すると回答をいただきました。
価格交渉代行業者については、卸連からは「取引条件を考慮せずに」ベンチマークを使用して同一価格を求められることが問題であるとの意見が出されました。
また、そもそもベンチマークは「取引条件を考慮」していないので、あえて「取引条件を考慮」の文言も必要ないのではとの意見も出されました。また、一社流通について、「一社流通を行うメーカーは、自ら又は卸売業者と協力し、その理由について、保険医療機関・保険薬局に対して丁寧に情報提供を行うこと。また、一社流通を行うメーカー及び卸売業者は、その医薬品の安定的供給を行うこと」と記載されました。この情報提供について、「一社流通の理由」、「価格設定」について透明性を持って説明してほしいというご意見がありました。また、これらの説明について、まずはメーカーが主体的に行い、卸業者のほうからも医療機関へ伝達していくことをガイドラインに示すべきという提案がされました。これらの様々な意見を踏まえて修正については事務局と再調整、検討を行い、パブリックコメントを実施し決定する事として原案作成については三村座長へ一任する事となりました。
物流2024年問題の医薬品業界への影響について、背景と今後の課題が共有されました。主に「配送リードタイムの延長」、「物流コスト上昇」などが今後生じることが想定される課題として挙がっていました。これらの問題について医療機器同様に通知を出して問題点の検討を促していくという方向性が確認されました。
今回の懇談会では、医療用医薬品の流通の改善に向けた具体的な取り組みが検討されました。今後は、改訂案の詳細や物流2024年問題の具体的な対応方法などについて、関係者間でさらに検討を進めていく必要があります。