令和6年度薬価制度改革について
- 議論の経緯
令和6年度薬価制度改革については、(1)令和5年度薬価改定及び令和4年度薬価制度改革の骨子に記載されている事項等、(2)これまでに問題提起された事項等、(3)その他薬価算定組織や関係業界から提起された事項等を踏まえて、令和5年6月から厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)の薬価専門部会・総会で議論が開始され、3回の業界意見陳述を経て、令和5年12月20日に「薬価制度改革の骨子」、令和6年1月17日に「薬価制度の見直しについて」がそれぞれ了承され、令和6年2月14日に「薬価算定の基準について」が通知されました(議論の経緯は、図1参照)。
そこで、改定内容について後発医薬品に関連する改定項目を中心にお示しします。
2. 薬価制度改革の骨子
後発品を中心とした医薬品の安定供給確保のための対応
(1)後発品の安定供給が確保できる企業の考え方
①企業指標の導入及び評価【基準改正】
安定供給が確保できる企業を可視化し、当該企業の品目を医療現場で選定しやすくなるよう、一定のルールに基づいて企業の安定供給体制等を評価する企業指標1)が導入されることとなりました。
1) https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001218705.pdf p62
②企業指標の評価結果の薬価制度における取扱い【基準改正】
令和6年度薬価改定では、試行的な導入として最小限のものから適用することとなりました。具体的にはA区分と評価された企業の品目について、以下の適用条件のすべてに該当する品目に限定して、現行の後発品の改定時の価格帯集約(原則3価格帯)とは別に、該当する品目のみを集約する2)こととなりました。
2)https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001218705.pdf p35
<対象医薬品>
●最初の後発品収載から5年以内の後発品
●安定確保医薬品A又はBに該当する後発品(基礎的医薬品を除く。)
<適用条件>
●後発品全体の平均乖離率以内の品目であること
●仮に現行ルールにより価格帯集約を行った場合、後発品のうち最も高い価格帯となる品目であること
●自社理由による限定出荷、供給停止を来している品目でないこと
(2)後発品の新規収載時の価格【基準改正】
後発品(バイオ後続品を除く)の新規収載時の薬価算定における、同時に収載される内用薬が10品目を超える場合に先発品の0.4掛けとする規定について、最近の新規後発品の収載時の品目数や収載直後の乖離率の状況を踏まえ、同時に収載される内用薬が7品目を超える場合に先発品の0.4掛けとすることとなりました。
(3)価格の下支え制度の充実
①基礎的医薬品【基準改正】
収載からの経過期間に関する要件について、25年から15年に短縮することとなりました。
また、乖離率の要件等により基礎的医薬品から外れた品目については、その後の改定時に再び基礎的医薬品となった場合であっても薬価の引き上げは行わず、改定前薬価を維持することとなりました。
②不採算品再算定
不採算品再算定については、急激な原材料費の高騰、安定供給問題に対応するため、企業から希望のあった品目を対象に特例的に適用することとなりました。
ただし、企業から希望があった品目のうち、令和5年度薬価調査結果において、前回の令和4年度薬価調査における全品目の平均乖離率である「7.0%」を超えた乖離率であった品目は対象外とされました。
また、今回の改定において不採算品再算定を適用される品目については、次回の薬価調査における乖離状況を確認し、流通状況を検証するとともに、不採算品再算定の適用の在り方について今後検討することとなりました。
その他、薬価制度ではありませんが、後発品が存在(上市後5年以上経過したもの、または後発品の置換率が50%以上となったもの)するものの、患者の希望で長期収載品を使用する場合には、選定療養として、長期収載品と後発品の最高価格帯との価格差の4分の1を患者負担とすることとなりました(令和6年10月より施行)。
なお、上記の内容については厚労省HPで動画(令和6年度薬価制度改革の概要)3)による説明があり
ますので併せてご参照ください。
3) https://www.youtube.com/watch?v=oytIRog29_I&list=PLMG33RKISnWhCI3jkGORR92NJw8fQDYJy&index=24
以上