くすり相談アンケート2023年(令和5年)度結果について
Ⅰ.調査目的
委員会では、くすり相談窓口における対応状況に関する調査を2003年(平成15年)より5年ごとに実施している。今般、2018年(平成30年)から5年が経過していること、ジェネリック医薬品を取り巻く環境や社会情勢も大きく変化し、情報提供の一翼を担うくすり相談業務も一段と多岐に渡ること、更に、その情報提供の重要性が増していることから、会員各社において要請をされている様々な情報提供の状況を整理し、問い合わせ窓口から見た情報提供のあり方を継続的に検討するため、今回もくすり相談の現状等についてのアンケート調査を行った。
Ⅱ.回答企業
あゆみ製薬㈱、大蔵製薬㈱、共和薬品工業㈱、キョーリンリメディオ㈱、コーアイセイ㈱、沢井製薬㈱、サンド㈱、ジェイドルフ製薬㈱、全星薬品工業㈱、大興製薬㈱、ダイト㈱、高田製薬㈱、武田テバファーマ㈱、辰巳化学㈱、鶴原製薬㈱、同仁医薬化工㈱、東和薬品㈱、トーアエイヨー㈱、日医工㈱、日新製薬㈱、日東メディック㈱、ニプロ㈱、日本ジェネリック㈱、日本薬品工業㈱、ネオクリティケア製薬㈱、光製薬㈱、ロートニッテン㈱
Ⅲ.調査方法
1.調査期間
2023年(令和5年)9月1日~2023年(令和5年)10月31日の2ヵ月間
2.調査用紙
No.1相談区分、No.2相談方法、No.3相談詳細項目、No.4企業状況等調査
3.解析方法
調査期間2ヵ月間の総件数について集計・検討した。集計作業は、事務局で企業名をマスキングしたデータを用い、プロジェクトチームにて実施した。
Ⅳ.前回までとの比較
第1~5回の調査概要
調査期間と回答会社は以下の通りで、調査時期は多少異なるものの、期間はいずれも2ヵ月間であることから、特に調整等は行わず、そのままの合計で比較した。
第1回:20社 2003年(平成15年)10月21日~12月20 日
第2回:34社 2008年(平成20年)1月15日~3月14日
第3回:32社 2014年(平成26年)1月21日~3月20日
第4回:39社 2018年(平成30年)10月1日~11月30日
第5回:27社 2023年(令和5年)9月1日~10月31日
【第1回~第5回結果】
相談総件数は、ジェネリック医薬品の普及に伴う使用数増により、相談件数の増加傾向がみられていた。5年前の第4回調査時の62,977件から今回の第5回調査では50,066件へ減少を示したが、これは、アンケート回答企業数の減少(39社→27社)によるものと考えられる。なお、平均件数は、5年前より増加(1,615件→1,854件)がみられた。また、前回との相談内容の各項目の割合には、大きな変化はみられなかった。
Ⅴ.第5回結果報告
【No.1相談区分】
【No.2相談方法】
【No.3相談詳細項目】
相談(お問い合わせ)詳細項目としては、「品質等」に関してが31%と最も多く、「品質等に関する問い合わせ内訳」として「安定性」に関してが62%を占めた。さらに「安定性に関する問い合わせ内訳」をみると承認外事項(「粉砕(脱カプセル)後の安定性試験」、「簡易懸濁試験」等)に関する問い合わせが8割を超えていた。(※今回の調査において、簡易懸濁試験に関する相談は安定性関する問い合わせとして集計を行った。)
また、品質等に次いで多い問い合わせである供給関連については、今回の第5回調査では昨今のジェネリック医薬品供給問題より、「安定供給」を小項目として独立させ、調査を行った。その結果、安定供給に関するお問い合わせの割合が大幅に増加し、その反面、コード・使用期限などの問い合わせ割合は減少していた。減少の背景には、各社のホームページでの情報提供の拡充があると考える。
【No.4企業状況等調査】
今回の第5回調査では、働き方改革やコロナ禍を経て、在宅勤務にてくすり相談対応(電話対応)を実施している企業がどの程度あるか調査するため、対応状況の設問に在宅勤務に関する項目を増設した。
【まとめ】
昨今のジェネリック医薬品の品質や安定供給に関する問題、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の働き方や生成AIなどの技術革新による社会活動様式の変化、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」の施行などにより、相談対応者にはこれまで以上に配慮ある対応や法令順守、新たな知識や情報の習得など多面的で広範囲な知見が求められている。
今回のアンケート結果が、今後のジェネリック医薬品製造販売企業として、どのようにジェネリック医薬品のくすり相談部門、情報提供を充実していくか等検討する際の、一助となれば幸いである。
最後に、今回のアンケート調査にご協力いただきました企業の皆様に深く感謝いたします。