政府24年度補正予算案を国会に提出 後発品業界再編に70億円計上
政府は12月9日、2024年度補正予算案を国会に提出した。厚生労働関係予算のうち、医薬品関連は安定供給策と創薬力強化策が柱で、合わせて442億円を計上した。このうち後発医薬品の品目統合など再編を進める企業に費用の半額を支援する事業には70億円を計上。バイオシミラーの国内生産を支援する事業には65億円を盛り込んだ。
後発品の業界再編の予算はもともと2025年度予算に盛り込む予定だったが財務省の了解が取れたため補正予算で前倒しして執行する予定だ。
後発品業界は比較的小規模で、生産能力が限られた企業が多く、少量多品目の非効率な生産構造が品質不良リスクや収益性の低下などを招いていると指摘されている。厚労省は少量多品目生産体制の解消に向けて、後発品企業同士の連携、協力、再編を後押しする支援事業を補正予算に計上する。
具体的には、A社とB社が同じ成分の品目を製造販売している場合に、A社に品目を集約するケースでは、A社が製造ラインを拡充する費用の2分の1を補助するイメージだ。
別のケースとしては、A社がB社を買収する際に、B社がトラブルを抱えていないかどうか、投資リスクを調査・分析する費用も補助の対象にする。
厚労省がコンサルティング会社に委託し、各社の再編事例を集めて再編のモデルを作る調査費用も事業に組み込む。
政府が補正予算の大まかな方針として11月22日に閣議決定した「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」では、後発品の再編支援策について「国による安定的・継続的な支援の在り方について、更に検討を深める」と記されている。
厚労省は支援策について補正予算の1回きりでなく、経済対策の記載を根拠として次年度以降も予算獲得に努めていく方針だ。
●BSの国内製造に向け 設備投資で65億円を支援
国内で新たにバイオシミラー(BS)の製造施設を造る企業に対して設備投資の2分の1を支援し、その事業費用として65億円を計上する。厚労省は9月にBS版ロードマップを策定。現在、国内の製薬企業はBSの原薬や製剤をほとんど海外から輸入しているため、産業振興や安定供給の観点から、国内の施設整備を政策課題に掲げていた。これを補正予算で手当し、実現させる。
鎮咳・去痰薬などの感染症対策医薬品や安定確保医薬品の供給不足問題に対応するため、23年度補正予算に続いて24年度補正予算でも20億円を計上し、増産に必要な設備整備費と人件費について、企業に2分の1を補助する。
厚労省全体の予算の追加額は8454億円規模になる。政府は開催中の臨時国会に予算案を提出し、会期末の12月21日までに成立を目指す。