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月刊JGAニュース

薬機法改正と安定確保医薬品の今後の取扱いについて  

(広報委員会)

 安定確保医薬品が定められた背景、選定経緯については、「安定確保医薬品について」JGAニュース2022年05月(No.169)の知っ得! 豆知識でとりあげています。
 令和7年度に予定されている薬機法改正に向けての議論が、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会で始まった当初は安定確保医薬品については、明確なテーマとしては挙げられていませんでした。しかし、「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」報告書で、①個々の企業における安定供給確保体制整備療 ②医薬品等の安定供給確保に係るマネジメントシステムの確立の必要性が提言されるなかで、「・安定供給確保のため企業に求める対応措置を整理し遵守させる枠組みを整備」することが求められています。それを受けて医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議において、安定確保医薬品の供給確保要請等について議論され、薬機法改正が必要な事項がまとめられました。
 その後、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会にて議論され、令和6年度第10回(2024年12月26日)において、薬機法等制度改正に関するとりまとめ案として、『現在、医療上必要不可欠であって、汎用され安定確保が求められる医薬品は安定確保医薬品として指定され、薬価等で特別な措置があるものの、法律上の位置付けは設けられていない。そのため、安定供給確保の取組が強く求められる安定供給確保医薬品(仮称)について、法令上、専門家の意見を聴いた上で厚生労働大臣が指定するとともに、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10 年法律第114 号)の感染症対策物資と同様の規定として、生産の促進その他の安定的な供給の確保のために必要な措置の要請(安定確保医薬品A ・B 相当を想定)、需給状況の把握のための製造販売業者等に対する報告徴収(安定確保医薬品A ・B ・C 相当を想定)等の規定を設けるべきである。』とされました。

 また、現状の安定確保医薬品506 成分についても、現在の状況を反映した見直しが必要とされ、医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議で、検討が進められており、次のような方針が定められています。
 第18回医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議(2024年11月18日)
 資料1 安定確保医薬品の見直しについて中の安定確保医薬品の見直し方針(案)において

『1.総論
 ①今回の見直しにおいても、前回同様、日本医学会の協力の下、安定確保会議で全体的な方針及び品目・カテゴリの最終決定を担当し、ワーキンググループ(WG)で個別品目の選定及びカテゴリ分類の検討を行う。

2.検討体制
 ①現在の安定確保医薬品の選定プロセスについては、臨床上の視点が必ずしも反映されていないのではないかとの指摘がある。今回の見直しにおいては、臨床上の観点から品目の漏れ等を確認するため、WGの構成を次項のとおりとするとともに、検討にあたっては、WHOのエッセンシャルメディスンリストや、JMATの携行医薬品リスト等とも突き合わせた上で検討を行う。

3.品目の選定及びカテゴリ分類のための要素について
 ①現在の安定確保医薬品については、「対象疾患の重篤性」、「代替薬・代替療法の有無」、「製造の状況・サプライチェーン」、「多くの患者が服用使用)していること」の4要素を勘案し、品目選定及びカテゴリ分類がなされている。

 今回の見直しにおいても当該4要素を勘案し決定することとするが、必要な品目について漏れなく安定確保医薬品に選定する観点から、選定においては、主に「対象疾患の重篤性」、「代替薬・代替療法の有無」、「製造の状況・サプライチェーン」を評価し決定することとする。一方、安定確保に係る取組を行う際の優先順序付けを行う必要もあることから、カテゴリ分類においては、「多くの患者が服用(使用)していること」も加えた、当該4要素を総合的に勘案し、決定する。

 ②令和3年の選定時においては、安定確保に係る取組を行う際の優先順序付けとしての目的を重視し、各学会10成分を目安に検討を依頼したが、今回の見直しにおいては、各学会 10成分を目安としつつも、3.①及び4.①の観点から必要な品目については10成分に限らず提案可能とする。また、学会への依頼に際しては、臨床現場の実情も考慮の上、各品目の優先順位及び選定・優先順位付けの理由を付記いただくこととする。』

 とされ、次のようなスケジュールが示されています。

 

今後の予定

 

<引用、参考>
第18回医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議 【資料1】安定確保医薬品の見直しについて
https://www.mhlw.go.jp/content/10807000/001333722.pdf

 選定された新しい安定確保医薬品の全てが安定供給確保医薬品に選定されるのか、一部のみかは、今後の検討によるものと思われますが、選定された安定供給確保医薬品について、薬機法で定められます。
 また、医薬品の安定供給確保に向けた体制整備のため、安定供給責任者の設置、生産の促進その他の安定的な供給の確保のために必要な措置の要請・需給状況の把握のための製造販売業者等に対する報告徴収等の規定が検討されます。

<参考>

1.「安定確保医薬品について」JGAニュース 2022年05月(No.169)
https://www.jga.gr.jp/information/jga-news/2022/169/06.html

2.後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会報告書(概要)
https://www.mhlw.go.jp/content/10807000/001256174.pdf

3.厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 とりまとめ
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000189913_00003.html