伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社
弊社は伊藤忠商事株式会社の中核事業会社で、医薬品・化学品に特化した専門商社です。
21世紀初頭よりジェネリック医薬品業界に参入し現在に至るまで様々な取り組みをしておりますが、今回はインドでの弊社の取組について紹介いたします。
ジェネリック医薬品参入当初、弊社の調達先は開発が先行していた欧州や、抗生物質や抗がん剤などの製造設備保有で先行していた韓国・台湾などであり、当時日本品質の要求に目を向けてくれないインドとはなかなか実績を積み上げていく事が難しい状況でした。しかし現在はジェネリック医薬品産業の成長と共に、中国に次いでインドが重要な調達国の1つとなっております。
インド原薬の採用実績が増えている主な要因として、グローバルサプライチェーンにおける生産・輸出拠点としてのインドの地位が向上しており、さらに中国などからの輸入に依存する重要製品(医薬中間体や原料)の国内生産強化を通じた経済安全保障の確保を進めている事があると考えております。弊社での医薬品原薬における当局へのマスターファイル登録においても上流工程についての確認・供給能力等の精査が重要であり、インド国内生産強化は安定供給及び品質管理における重要な要素となっております。さらにインド国内の医薬品市場は足元の約9兆円から2030年には18兆円へと2倍に拡大するとの試算もあり、インドの人口も昨年中国を追い抜いて約14億人となり実質GDP成長率も中国を上回っている状況です。益々インドはジェネリック医薬品原料の中国に続く重要な調達国へとさらに進化・発展する事が期待されております。
重要性が増しているインドからの安定調達をより確実にする為に、昨年4月に医薬品原料の実務担当経験者を伊藤忠商事のムンバイ支店へ駐在員として派遣しました。ムンバイ支店は、医薬・医療の統括として化学品のインドの拠点であり、医療関連の担当者をインドへ派遣するのは伊藤忠グループとして初めてとなります。
インドの医薬品市場が大きくなれば、開発される医薬品の数が増え、又製造するサイト・設備も日々増加・変化していく事が予測されます。単にプロダクトリスト、製法、品質データのみでの判断に頼らず、日本のパートナー様と長期的かつ安心して原薬を使用いただく為には、よりインドサプライヤーに近い立場でのコミュニケーションを図る人材をインドに駐在させ育成し、日本の要望に寄り添えるサプライヤーとの信頼関係を強く構築していく事が重要と考え駐在派遣が決定されました。皆様のご要望・ご意見・ご指摘を真摯に受け取り、駐在員と試行錯誤しながら様々なプロジェクトを進めている状況です。インドからの安定供給に寄与しジェネリック医薬品業界の貢献に努めてまいります。
最後に、インドからの調達先という視点での今回寄稿いたしましたが、伊藤忠グループ全体で医療・医薬品関連企業の開拓や関係構築、投資案件の発掘、欧米や他のアジア地域間の取引も視野にいれておりますので、是非パートナー様と共に日本に限らず医薬品業界の発展に貢献していきたいと考えております。
変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。