抗がん剤による治療は、抗がん剤だけではなく、多くの場合、制吐剤や抗アレルギー剤、補液などの支持療法剤と併用されます。抗がん剤とこのような支持療法剤を明記したものが「レジメン」です (表1)。レジメンには薬剤の投与量、投与時間、投与方法、投与順、投与日などが時系列的に記載されています。抗がん剤投与時には投与速度を厳守しなければ副作用が増強することが考えられます。
化学療法前に必ずレジメンチェックを行います。その中で薬剤師の役割は重要で、特に薬剤の適正使用、およびリスクマネージャーとしての安全管理の責務が挙げられます。 抗がん剤は、他のハイリスク薬剤と比較しても投与等の厳密な管理を必要とする薬剤であり、適切に評価されたレジメンに従って治療を進めていく必要があります。
〇 用法・用量:一般的に投与量は体表面積当たりで算出される場合が多いです。
〇 投与期間・投与間隔:標準的コースは4~6コースです。それ以上投与しても予後やQOLの改善は得られないと考えられています。2次以降の投与期間に関しても特に定められていませんが、病状が進行するまで投与される場合が多いです。
〇 治療に関わるチェック:投与薬剤の副作用軽減のための薬剤のチェックで、アドヒアランスを保持させる必要があります。
〇 治療前、治療中のモニタリング:がんに罹患する患者さんは高齢者が多く、がん以外にも基礎疾患を有していて、薬物治療を受けている患者さんも多いです。薬物相互作用により抗悪性腫瘍剤の効果が増強・減弱する可能性もあるため、他の薬剤の服用歴をチェックし、併用に問題ないか確認することも重要です。また、外来治療では副作用発現により重篤化する可能性もあり、患者さんには副作用の初期症状や対処方法をしっかり説明する必要があります。
〇 費用による治療選択:抗がん剤はいずれも高額である場合が多く、治療費用が高額になることで治療継続が困難になる場合もありますので、患者さんの経済的な背景も考慮して、治療方法を選択することも必要です。
参考:厚生労働省保険局医療課「令和2年度診療報酬改定の概要」(P.67、68)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000691038.pdf
JGAニュースNo.118(2018年2月号)