健康サポート薬局とは、薬事関係法令上、「かかりつけ薬剤師・薬局の基本的機能(表1)」に加え、国民による主体的な健康の保持増進を積極的に支援する「健康サポート機能(表2)」を備えた薬局と規定されています。
高齢化が著しく進行している日本では、高齢者が重度の要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される“地域包括ケアシステム”の構築が推進されています。地域包括ケアシステムの中で、かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師がその一翼を担うためには、「健康サポート機能」を備えていくことが必須であると考えられています。
健康サポート薬局の表示及び公表並びにそれを行うための基準等については、平成28年4月1日に施行された「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」(平成28年厚生労働省令第19号)及び「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則第1条第5項第10号に規定する厚生労働大臣が定める基準」(平成28年厚生労働省告示第29号)で定められており、その詳細内容は関連通知※1や事務連絡※2で確認することができます。
健康サポート薬局の基準について具体的な内容を一部ご紹介すると、‘常駐する薬剤師の資質’として5年以上の薬局での実務経験及び所定研修(30時間)を修了すること、‘薬局設備’としてパーテンション等で区切るなど個人情報に配慮された相談窓口を設置していること、‘開局時間’は平日の午前8時から午後7時までの時間帯に8時間以上とすることが望ましく(必ず連続して開局)、土日のいずれかは4時間以上であること、‘健康サポートの取組’として単に相談を応需するだけでなく、薬剤師による薬の相談会や禁煙相談等の具体的な取組を月1回程度実施していることが望ましい、などが挙げられています。
すべての基準を満たした薬局は、薬局所在地の都道府県知事等に届出を行なった上で健康サポート薬局である旨を表示することが可能です(平成28年10月1日より届出開始)。また、都道府県知事は届出状況について地域住民へ公表し、健康サポート薬局を検索できるようにすることと定められています。
なお、健康サポート薬局は、その基準を満たすこと自体が目的化するようなことがあってはならないとされており、診療報酬上のインセンティブもありません。地域住民の健康意識を高めて健康寿命の延伸に貢献していくために、人々が安心して立ち寄
り相談できる身近な存在になること、さらに、薬局だけで対応できない相談や支援については多職種や関係機関につなぐ役割を果たすことが、健康サポート薬局には求められています。
※1:「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行等について」(平成28年2月12日薬生発0212号第5号)
「健康サポート薬局に係る研修実施要綱について(通知)」(平成28年2月12日薬生発0212第8号)
「健康サポート薬局に係る研修の第三者確認の実施機関について」(平成28年3月15日薬生総発0315第1号)
※2:「健康サポート薬局に関するQ&Aについて」(平成28年3月29日事務連絡)「健康サポート薬局に関するQ&Aについて(その2)」(平成29年4月21日事務連絡)