2023年10月2日から開催されている『大阪大谷大学博物(小学生から楽しめる「おくすり大百科 目指せ!おくすり博士 歴史編」における博物館講座が、11月11日(土)14時~15時半に実施されました。テーマは「山伏と甲賀忍者、そしてくすりを語る」で、甲賀市くすり学習館館長の長峰透先生にご講演いただきました。
講座では、滋賀県甲賀市の位置と地理、甲賀市をとりまく霊山、山伏の聖地(当時は、松尾芭蕉が「秋山に あら 山伏の祈る声」と詩を詠むほど多くの山伏が存在していた)から里山伏たちの仕事、山の信仰、その後の歴史的背景(明治3年「売薬取締規則」が発布されて以降、山伏がそれまで生業としていた“お札とくすり(お札を売るためのお土産的な位置づけ)をセットで売る”ことが禁止され、これを皮切りに山伏の仕事が“お札売り”から“くすり売り”へとシフトしていった(配札の「檀那場」⇒くすりの「得意先」に)。その後、明治30年代から製薬企業の設立が相次いだこと。
また、山伏と忍者の関係性では、忍者が発生した伊賀・甲賀の地理的環境(京都・奈良に近く、最新の情報が入りやすい地。東海道が通る東西交通の要衝、軍事的要衝。複雑な地形が隠れるのに最適)。忍者とくすりの知識(忍者のくすりの使い方:健康な身体をつくる、傷や病気を治す、敵を倒す、食料となる、くすりの知識を応用して:火薬、狼煙をつくる)。
さらに、一般的に対立関係のイメージの強い「伊賀忍者」と「甲賀忍者」について、実は“連立関係”に近い友好的な関係性であり、互いに助け合い情報共有し合っていたこと等、驚きの歴史が語られました。
そして、忍者は、“戦うよりも、大将に情報提供をする”ことが役割であり、何といっても“(敵陣より)生きて帰る”こと、自分自身が“健康であること(健康管理・維持)”が重要であったこと等が紹介されました。
最後に、「忍(しのび)」の意味合いについて、“「刃」を正しく使える心の持ち方が大事。忍者にとって最も大事なことは、正しい「心」。心が間違っていると、「泥棒」になる”、とのお話も紹介され、「刃を正しく使う正しい心の持ち方が大事」という志は、我々、製薬メーカーにも通じる大事な心得と思い、最後にご紹介させていただきます。
今回の講座では、くすりについて、“忍者”の歴史を紐解きながら、大変興味深いお話をいただきました。本テーマについて気になる方は、ぜひ、「甲賀市くすり学習館」のHPや、大阪大谷大学HP「令和5年度秋季特別展 おくすり大百科 目指せ!おくすり博士 歴史編)」へお立ち寄りいただけますと幸いです!(展示期間は11月25日(土)まで)
(ご参考)
甲賀市くすり学習館HP
http://www.kusuri-gakushukan.com/
大阪大谷大学HP:令和5年度秋季特別展「おくすり大百科 目指せ!おくすり博士 歴史編」
https://www.osaka-ohtani.ac.jp/facilities/museum/event.html
レポート バックナンバーはこちら