医薬品添加剤とは
製剤に含まれる有効成分以外の物質を「医薬品添加剤」と呼びます。「日本薬局方」では「添加剤」の呼称で記載があり、その使用目的を、有効成分及び製剤の有用性を高める、製剤化を容易にする、品質の安定化を図る、使用性を向上させる、などとしています。加えて、その製剤の投与量において薬理作用を示さず、無害でなければならないことや、有効成分の治療効果を妨げてはならないことが記されています。
日本の医薬品添加剤
医薬品添加剤として使用される物質の種類は多く、日本の医薬品添加剤情報の総覧である「医薬品添加物事典2016」には、使用前例がある医薬品添加剤成分1,394品目が掲載されています。日本では、「日本薬局方」、「医薬品添加物規格」、「日本薬局方外医薬品規格」に収載された物質、および、それ以外で厚生労働省に認可を受けた物質が、医薬品添加剤として使用可能です。前例のない物質を添加剤として使用するには、安定性や安全性に関する試験データなどを厚生労働省に提出して審査を受け、承認を得る必要があります。医薬品添加剤の安全性は、厳格な審査によって担保されているのです。
ジェネリック医薬品と添加剤
ジェネリック医薬品の添加剤が先発医薬品と異なることがあります。先発医薬品の製剤特許のため、同じ添加剤が使えない場合や、製剤改良を目的として、先発医薬品と違う添加剤を使用する場合などです。このような場合に、異なる添加剤を理由に、ジェネリック医薬品と先発医薬品の有効性や安全性が違うのではないか、と懸念の声を聞くことがありますが、そのようなことはありません。添加剤の種類が違っても、ジェネリック医薬品と先発医薬品の有効性や安全性に違いがないことは、生物学的同等性試験によって確認しています。
患者さんや医療関係者のジェネリック医薬品への信頼感をさらに高めるためには、医薬品添加剤に関する正しい情報を知ってもらうことも重要と考えます。
<参考>
・原島秀吉、伊藤智夫、寺田勝英 編「パートナー薬剤学 改訂第3版」(2017年3月30日、南江堂)
・日本医薬品添加剤協会 編「医薬品添加物事典2016」(2016年2月18日、薬事日報社)
・日本ジェネリック製薬協会編「ジェネリック医薬品パーフェクトBOOK 改訂2版」(2018年7月13日、南山堂)
・厚生労働省「ジェネリック医薬品への疑問に答えます ~ジェネリック医薬品 Q&A~」(平成27年2月)
JGAニュースNo129からの転載です