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後発医薬品の薬価算定と規格単位について(規格間調整)

後発医薬品の薬価算定と規格単位について(規格間調整)

みなさんは初収載される後発医薬品の薬価掛け率が規格単位で異なっていることを不思議に思ったことはありませんか?今回はそんな疑問にお答えします。初収載される後発医薬品は品目によって様々な薬価算定ルールが適用されますが、全部説明すると「豆知識」では終わりませんので、今回は基本的な算定方法について説明いたします。


平成28年度の薬価制度改革により後発医薬品の初収載薬価は先発医薬品の×0.5(内用薬の10品目超の場合は×0.4)になっています。ただし、先発医薬品に新薬創出・適応外薬解消等促進加算(以下新薬創出加算という)が適用されている場合は加算分を差し引いて計算します。また、同じ成分に規格が複数ある場合は規格間調整をして汎用規格以外の規格の薬価を計算します。

例えば次のような先発医薬品(新薬創出加算がない場合)を例に説明します。

  • 先発医薬品5mg(準汎用規格)60.00円
  • 先発医薬品10mg(汎用規格)100.00円
  • 先発医薬品20mg160.00円
  • ※「成分含有量×年間販売数量」が最も大きいものを汎用規格、2番目に大きいものを準汎用規格と言います。

まず、汎用規格の後発医薬品10mgの薬価を計算します。(内用薬で初収載後発医薬品が10品目以下の場合)

  • 先発医薬品10mg薬価100.00円×0.5=50.00円

次に、先発医薬品の汎用規格と準汎用規格の「規格間比」を求めます。規格間比は以下の式で計算します。

  • 規格間比=log(準汎用規格薬価/汎用規格薬価)/log(準汎用規格含有量/汎用規格含有量)

この例では、log(60/100)/log(5/10)=0.7370となります。

次に、この規格間比を用いて、最初に計算された後発医薬品の汎用規格の薬価から、他の規格の薬価を計算します。

  • 後発医薬品5mgの薬価
  • =後発医薬品汎用規格10mgの薬価50.00円×(5/10)^0.7370
  • =30.00円
  • (これは、先発医薬品5mg(準汎用規格)の薬価60.00円の×0.5となります)

後発医薬品20mgの薬価についても同様に計算されるのですが、「通常最大用量を超え、かつ規格間比が0.5850を超える場合」に該当する場合は、「規格間比は0.5850を使用する」という例外規定があります。したがって、この規格がこの条件に該当する場合は、

  • 後発医薬品20mgの薬価
  • =後発医薬品汎用規格10mgの薬価50.00円×(20/10)^0.5850=75.00円

と計算されます。
(これは、先発医薬品20mgの薬価160.00円の×0.4687に相当しますので、×0.5になりません)

薬価制度改革議論では、「先発医薬品の○掛け」という表現しか出てきませんので、「なぜ先発医薬品の0.5掛けじゃないものがあるの?」と疑問を思っていたかもしれません。しかし、上記の方法を用いれば、先発医薬品にない規格の後発医薬品が収載
される場合にも、その規格に相当する薬価を付けることが可能になるのです。

「log(対数)」や「^(べき乗)」などは、高校の数学の時間で出て来て以来見たことがない、という方も多いかと思いますが、エクセルで簡単に計算できますので、一度やってみてください。

JGAニュースNo.11020176月号)

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