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特別寄稿

全国健康保険協会(協会けんぽ)のジェネリック医薬品使用促進の取り組み 東京支部

全国健康保険協会(協会けんぽ)のジェネリック医薬品使用促進の取り組み 東京支部

 ジェネリック医薬品使用促進の要である医師・薬剤師の皆様の積極的なご協力をお願いするため、協会けんぽ東京支部は、厚生労働省と日本ジェネリック製薬協会主催のパネルディスカッション「ジェネリック医薬品シェア80%達成に向けた課題と解決策(」2018年2月18日開催)にパネリストとして参加しました。 そこで東京支部が行ったプレゼンテーションの内容をご紹介します。

 日本の国家財政は、主要先進国で最低水準(債務残高の対GDP比は約240%)となっています。その大きな要因は、増え続ける社会保障費であり、医療費は社会保障費の約1/3を占めています。国家財政が破綻すれば、医療も崩壊するであろうことは想像に難くありません。日本が世界に誇る国民皆保険を維持する為にも、国家財政の立て直しが急務です。ジェネリック医薬品の使用促進は、その一翼を担う重要な取り組みです。

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 調剤は医療費の約2割を占め、その約7割が薬剤費です。ジェネリック医薬品の使用割合は、2018年現在、金額ベースで約2割、数量ベースで約7割です。

 協会けんぽ東京支部の調剤レセプト情報から推計すると、先発品からジェネリック医薬品に切り替われば、調剤数量1単位あたり平均34円の節減が期待できます。数量ベースの使用割合が7割から8割(2020 年度の目標)になれば、協会けんぽ東京支部の規模(加入者470万人)で、年間54億円の節減です。

 これが全ての医療保険者に当てはまると仮定すると、日本全体の調剤医療費(2015年度で約7.4兆円) は協会けんぽ東京支部(同1,500億円)の約50倍ですから、日本全体では年間2,500億円(=50億円×50) の財政効果が期待できます。ジェネリック医薬品の使用促進は、これだけの可能性を秘めています。

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 協会けんぽは国民の約3人に1人(2018年3月末で約3,900万人)が加入する、国内最大の医療保険者(健 康保険の運営主体)なので、その加入者の動向は、国内のジェネリック医薬品の使用割合に大きく影響します。東京支部は、その中の1割以上(同約470万人)が加入する最大の支部ですが、加入者のジェネリック医薬品使用割合(数量ベース)は、協会けんぽ全体の平均(2017年12月で72.7%)より約2%低い水準(同 70.7%)で推移しています。

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 年齢別に見ると、子供と高齢者のジェネリック医薬品の使用割合が低く、性別に見ると、女性のジェネリック医薬品の使用割合が低い傾向にあります。

 地域別に見ると(東京支部の加入者の居住地は東京だけでなく全国に広がっていますが)、東京は他県よりジェネリック医薬品の使用割合が低く、都内でも都心部ほど低い傾向にあります。また、薬局間にも大きなバラつきがあります。

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 この様な傾向を踏まえて、協会けんぽ東京支部では、加入者と医療提供者の双方に、ジェネリック医薬品の使用促進を働き掛けています。

 協会けんぽ各支部に共通した取り組みとして、加入者向けには、被保険者証(健康保険証)の交付時に「ジェネリック医薬品希望シール」を一緒に配布して、被保険者証やお薬手帳への貼付をお願いしています。また、先発医薬品を服用している加入者には、「ジェネリック医薬品への切り替えによる軽減見込み額」 をお知らせして、ジェネリック医薬品への切り替えをお願いしています。その際に同封するリーフレットは、対象者の性別や年齢によってデザインを変える等、少しでも多くの方が切り替えることを目指して試行錯誤しています。

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 一方、医療提供者向けとして、ジェネリック医薬品への切り替え余地が大きい(取扱数量が多く、ジェネ リック医薬品使用割合が低い)と思われる調剤薬局から優先的に、1自局の処方実績・2都内薬局中の位置づけ・3薬効分類別処方割合などを記載した文書の送付を2016年度から開始しています。

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 ジェネリック医薬品の使用割合を高めるには、医師・薬剤師の皆様の積極的なご協力が不可欠です。

< 医師の皆様へのお願い >

 初めて処方する患者さんには、まずジェネリック医薬品から勧めて下さい。一旦、処方されて自分に合った薬を切替える事に患者さんは不安を感じます。最初からジェネリック医薬品を処方されれば、患者さん も不安になりません。

< 薬剤師の皆様へのお願い >

 ジェネリック医薬品に切替え可能な処方箋を持参された患者さんには、専門家として積極的にジェネリック医薬品を勧めて下さい。患者さんは、薬の専門家である薬剤師の皆様を信頼しています。患者さん の背中を押して上げて下さい。

 国民皆保険制度を維持する為のひとつの方策として、ジェネリック医薬品の普及・拡大に医師・薬剤師の皆様の積極的なご協力を宜しくお願い致します。

JGAニュースNo.123(2019年7月号)

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