1.協会けんぽ沖縄支部の現状
協会けんぽ沖縄支部のジェネリック医薬品使用割合は平成 30 年 9 月分で 86.5%と協会けんぽ全支部の中で最も高く、全支部平均の 76.9%を大きく上回っています。(図表 1)
協会けんぽ発足当時から沖縄支部のジェネリック医薬品使用割合は高く、その後も他支部同様、積極的にジェネリック医薬品使用促進の取り組みを行うことでジェネリック医薬品使用割合を伸ばし、現在も 1 位を維持しています。
沖縄県のジェネリック医薬品使用割合が以前から高い要因として、推測ではありますが、復帰前の医療保険制度では所得水準が低いなか現金給付であったため、医師・薬剤師も患者の金銭的負担を考慮して、できるだけ安価な薬を積極的に処方し、ジェネリック医薬品を受け入れやすい土壌が形成されたのではないかと考えております。
【図表 1】
2.協会けんぽ沖縄支部の取組
(加入者への働きかけ)
◆ジェネリック軽減額通知サービスの実施
協会けんぽでは、現在使っている医薬品をジェネリック医薬品に切り替えた場合のお薬代の軽減可能額を加入者に通知する「ジェネリック医薬品の軽減額通知サービス」を年に 2 回実施しています。
平成 29 年度では沖縄支部における対象者約 6 万 3 千人に通知を送付し、そのうち約 2 万人がジェネリック医薬品に切り替えており(切替率 31.9%)、その推定軽減効果額はおよそ 4 億 3 千万円にもなります(図表 2)。
【図表 2】
◆研修会でのジェネリック医薬品に関する講話の実施
沖縄支部では毎年、年金機構と合同で事業所の社会保険事務担当者を対象とした研修会を実施しています。平成 30 年度は沖縄県薬剤師会より講師をお招きし、研修会のなかでジェネリック医薬品に関する講話を実施しました。11月9日と11月13日の2回合計で156 名の参加者にジェネリック医薬品について周知することができました。
また、研修会資料とともにジェネリック医薬品希望シールとジェネリック医薬品のリーフレットを配布し、ジェネリック医薬品についての周知を図りました。
◆新規適用事業所へのリーフレット及び希望シールの送付
沖縄支部では毎月、新規適用事業所に対し、協会けんぽの事業案内のパンフレットや健診の案内と一緒にジェネリック医薬品使用促進チラシとジェネリック医薬品希望促進シールを送付し、周知を図っています。
◆ジェネリック医薬品に関するプレスリリースの実施
平成29年1月3 日にジェネリック医薬品軽減額通知に関するプレスリリース、更に平成29年3月9日には協会けんぽ沖縄支部のジェネリック医薬品使用割合が国の目標値 80%を全国第一号で突破し 80.4%になったことに関するプレスリリースを実施した結果、地元新聞に記事が掲載され、広く県民にジェネリック医薬品について周知を図ることができました。今後も機会をとらえてジェネリック医薬品に関するプレスリリースを実施してまいります。
●プレスリリース
(医療機関及び薬局への働きかけ)
平成30年2月に県内の医療機関698件及び調剤薬局524件に対して、各医療機関及び調剤薬局のジェネリック医薬品使用割合について県平均や二次医療圏平均と比較できる「ジェネリック医薬品に関するお知らせ」を送付しました。
ツールに収録されている県内の全医療機関及び全調剤薬局に送付したものであり、事前に沖縄県医師会及び沖縄県薬剤師会に説明し、了承を得たうえで実施しています。沖縄県では沖縄県医師会及び沖縄県薬剤師会もジェネリック医薬品使用促進に積極的であり、ジェネリック医薬品を推進する環境が整っていると言えます。
また、沖縄支部の健康づくり推進協議会において、薬剤師会代表の委員からはジェネリック医薬品に関するお知らせについて「当病院ではこれだけのジェネリック医薬品の処方割合があるのかと驚きの声があがるなど、職員の意識もすごく高まった。当病院の薬をうけている薬局上位 5 薬局までの割合も確認できて非常によかった」とのお褒めの言葉もいただきました。このように沖縄県は県医師会、県薬剤師会が積極的にジェネリック医薬品を推奨しており、協会けんぽを含めた三者で協力してジェネリック医薬品使用促進に取り組めていることが現在もジェネリック医薬品使用割合全国 1 位を維持できている要因であると思われます。
●ジェネリック医薬品に関するお知らせ
(行政への働きかけ)
沖縄県では平成27年当時全国で唯一、後発医薬品安心使用促進協議会が未設置でしたが、支部から県に協議会設置について働きかけ、平成28年8月に第1回目の協議会が開催されました。平成30年3月15日には第2回目の沖縄県後発医薬品安心使用促進協議会が開催され、沖縄支部からは支部のジェネリック医薬品使用促進の取組について説明しました。今後も沖縄県に対し、年1回の沖縄県後発医薬品安心使用促進協議会の開催及び県全体でのジェネリック医薬品使用促進の取組について要望してまいります。
3.おわりに
沖縄支部では直近のジェネリック医薬品使用割合が86.5%と高く、これからはジェネリック医薬品使用割合の伸びが鈍化していくことが予想されます。今後は診療所など院内処方の多い医療機関や処方量の多い大規模な医療機関への細やかな対応やポイントを絞った対応が課題となっており、それに向けて取り組んでまいります。
日本ジェネリック製薬協会及び会員の皆様には、さらなるご支援をお願い申し上げます。