1. 長崎支部の現状
長崎支部のジェネリック医薬品使用割合は、2018年8月時点で77.6%と、協会けんぽの全国平均値76.5%を1.1ポイント上回っておりますが、全国順位では19位と中位で推移しています。
長崎支部では、その要因を分析し、長崎県や医療関係団体とも連携し、使用促進に向け積極的に取り組んでいます。
2. 長崎支部における課題
長崎支部では、協会けんぽにおける支部(地域)間格差を分析した「ジェネリックカルテ」をもとに、ジェネリック医薬品使用促進の課題として見えた「一般名処方率」の改善と、子どものジェネリック医薬品使用啓発に取り組みました。
また、2次医療圏別使用割合を見ると、2017年3月時点で最大24.8ポイントの差があり、地域間格差の要因を分析し、長崎県薬務行政室と共同で、地域の基幹病院と門前薬局の訪問を行いました。
3.医療機関と薬局への働きかけ
2017年6月と2018年5月に、長崎県医師会と長崎県薬剤師会の了解のもと、医療機関および薬局ごとに作成した「ジェネリック医薬品に関するお知らせ」を、一定数量以上の県内約600医療機関と630薬局に送付しました。
このお知らせは、「自機関の使用割合」や「県や2次医療圏平均との比較」、「一般名処方との関連」、「薬効別の処方割合」等が可視化されています。
医療機関用のお知らせには、厚生労働省が実施したアンケート結果「後発医薬品の使用を促進するために薬局側が医療機関に望むこと」を掲載し、「一般名処方率」の改善を意識したお知らせにしました。
また、2018年6月には、長崎病院事務長協議会において、各病院の事務長(53名)に対して、各病院ごとに配付した「ジェネリック医薬品に関するお知らせ」について説明し、一般名処方の推進等、ジェネリック医薬品使用促進に向けた働きかけを行いました。
2018年4月時点で、一般名処方率44.9%(前年比+6.2ポイント)、偏差値39(前年比+1ポイント)と、若干ではありますが改善に向かっています。
4.加入者への働きかけ
長崎支部は、2017年3月時点の調剤レセプトベースで、0 ~ 4歳のジェネリック医薬品使用割合が58.4%と全国平均より6.7ポイント低く、全国順位では44位と低迷していました。
そこで、2017年5月に、県内の産科・小児科、自治体等に配布された「こども救急ハンドブック」に、こども向けジェネリック医薬品使用啓発広告を掲載し、併せてラジオCMを実施しました。
また、2018年5月には、長崎県や医療関係団体と連名で、こども向けジェネリック医薬品使用啓発ポスターを作製し、県内の約1,200医療機関、800歯科医院、750薬局にポスターを送付し、掲示と使用啓発を依頼しました。
2018年9月時点で、0 ~ 4歳のジェネリック医薬品使用割合が73.1%(前年比+14.2ポイント)、全国順位では26位と改善に向かっています。
5.長崎県と連携した取り組み
長崎支部では、上記の分析結果をもとに、長崎県ジェネリック医薬品使用促進協議会で情報発信を行い、医療提供側や加入者への働きかけに関する取り組みに理解をいただいてきました。
その一環として、地域間格差を改善するため、長崎県薬務行政室と共同で、地域の基幹病院と門前薬局の訪問を行いました。
2017年11月に五島・対馬医療圏、2019年2月に長崎・佐世保県北・県央医療圏の基幹病院と門前薬局を訪問しました。
長崎県薬務行政室と連携することで、基幹病院の薬局長等と面談することができ、自機関の使用割合を可視化した「ジェネリック医薬品に関するお知らせ」を持参することで、説得力のある協力要請となり、一般名処方の推進や、門前薬局間の格差の縮小につながりました。
また、長崎県薬務行政室から、ジェネリック医薬品使用促進リーフレット等を提供いただき、長崎支部が参加する県内の健康づくりイベントで、2017年度に約3,000枚、2018年度は約9,000枚配布し、普及啓発を行いました。