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法律・制度

改正医薬品医療機器等法(機能別薬局の知事認定制度)

改正医薬品医療機器等法(機能別薬局の知事認定制度)

「住み慣れた地域で患者さんが安心して医薬品を使うことができるように」

 近年、高齢化が進展し、新薬等の開発が進む中、多剤投与による有害事象の懸念の高まり、薬物療法において特に有害事象に注意を要する疾病(がん、糖尿病等)を有する患者さんの外来治療へのシフトなどが見られます。また、医療機関の機能分化、在宅医療や施設・居住系介護サービスの需要増等が進展しており、患者さんが地域で様々な療養環境(入院、外来、在宅医療、介護施設など)に移行するケースが増加しております。

 我が国の高齢化の進展状況は、人口が横ばいで75歳以上人口が急増する大都市部、75歳以上人口の伸びは緩やかだが人口は減少する町村部等、地域によって様々です。このように地域の特性に応じて保険者である都道府県や市町村がその地域の主体性に基づき作り上げていくものとして、地域包括ケアシステムが注目を集めております。

 地域包括ケアシステムを担う一員として、薬剤師・薬局は医療機関等の関係機関と連携しつつ、その専門性を発揮し、患者さんに安全かつ有効な薬物療法を切れ目なく提供する役割を果たすことが求められております。

 平成27年10月23日に厚生労働省より「患者のための薬局ビジョン」~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~が発表され、患者さん本位の医薬分業の実現に向けて、かかりつけ薬剤師・薬局の今後の姿を明らかにするとともに、中長期的視野に立って、かかりつけ薬局への再編の道筋が示されております。ビジョンには、地域包括ケアシステムの一翼を担い、薬に関して、いつでも気軽に相談できる“かかりつけ薬剤師・薬局”が重要であるとされおり、持つべき機能として、服薬情報の一元的・継続的把握、24時間対応・在宅対応、医療機関等との連携が挙げられております。加えて、学会等が提供する専門薬剤師の認定を受けた、高度な知識・技術と臨床経験を有する薬剤師を配置し、がんやHIV、難病のような疾患を有する患者さんに対する高度な薬学的管理ニーズへの対応も挙げられております。

 令和3年8月1日に施行される改正薬機法の「住み慣れた地域で患者が安心して医薬品を使うことができるようにするための薬剤師・薬局のあり方の見直し」に関する事項について、令和3年1月22日に改正省令(省令第5号)が、令和3年1月29日に厚生労働省薬生発0129第6号が示され、「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」の認定制度が創設されました。

「地域連携薬局」
 医療提供施設と連携し、地域における薬剤等の適正な使用の推進及び効率的な提供に必要な機能を有する薬局は、都道府県の認定を受けて、地域連携薬局と称することができることとなります。

 地域連携薬局は、外来受診時だけではなく、在宅医療への対応や入退院時を含め、他の医療提供施設との服薬情報の一元的・継続的な情報連携に対応できる薬局であることが求められます。このため、地域において、他の医療提供施設に勤務する医師をはじめとした医療関係者との連携体制を構築した上で、様々な療養の場を移行する利用者の服薬情報等の情報共有を行いながら、利用者に対して質の高い薬学的管理を行う必要があります。

「認定基準」(概要)

● 構造設備
1. 利用者の服薬指導等の際に配慮した構造設備
2. 高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造設備
● 利用者の薬剤等の使用に関する情報を他の医療提供施設と共有する体制
1. 地域包括ケアシステムの構築に資する会議への参加
2. 地域における医療機関に勤務する薬剤師等に対して随時報告及び連絡することができる体制
3. 地域における医療機関に勤務する薬剤師等に対して報告及び連絡した実績
4. 他の薬局に対して報告及び連絡することができる体制
● 地域の利用者に対し安定的に薬剤を供給するための調剤及び調剤された薬剤の販売業務体制
1. 開店時間外の相談に対応する体制
2. 休日及び夜間の調剤応需体制
3. 在庫として保管する医薬品を必要な場合に他の薬局開設者の薬局に提供する体制
4. 麻薬の調剤応需体制
5. 無菌製剤処理を実施できる体制
6. 医療安全対策
7. 継続して 1 年以上常勤として勤務している薬剤師の体制
8. 地域包括ケアシステムに関する研修を修了し常勤として勤務している薬剤師の体制
9. 地域包括ケアシステムに関する内容の研修の受講
10. 地域の他の医療提供施設に対する医薬品の適正使用に関する情報提供
● 居宅等における調剤及び指導を行う体制
1. 居宅等における調剤並びに情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の実績
2. 医療機器及び衛生材料を提供するための体制

「専門医療機関連携薬局」
 他の医療提供施設と連携し、専門的な薬学的知見に基づく指導を実施するために必要な機能を有する薬局は、がん等の傷病の区分ごとに都道府県知事の認定を受けて、専門医療機関連携薬局と称することができることとなります。なお、称するに当たっては、傷病の区分を明示しなければなりません。

「傷病の区分」
 認定にあたり必要な基準は、がんの区分に対応したものが設けられておりますが、今後、傷病の区分が追加されれば、その区分に対応する基準が定められることとなります。

「認定基準」(概要)
● 構造設備
1. 利用者の服薬指導等の際に配慮した構造設備
2. 高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造設備
● 利用者の薬剤等の使用に関する情報を他の医療提供施設と共有する体制
1. 専門的な医療の提供等を行う医療機関との間で開催される会議への参加
2. 専門的な医療の提供等を行う医療機関に勤務する薬剤師等に対して随時報告及び連絡することができる体制
3. 専門的な医療の提供等を行う医療機関に勤務する薬剤師等に対して報告及び連絡した実績
4. 他の薬局に対して報告及び連絡することができる体制
● 専門的な薬学的知見に基づく調剤及び指導の業務体制
1. 開店時間外の相談に対応する体制
2. 休日及び夜間の調剤応需体制
3. 在庫として保管する傷病の区分に係る医薬品を必要な場合に他の薬局開設者の薬局に提供する体 制
4. 麻薬の調剤応需体制
5. 医療安全対策
6. 継続して1年以上常勤として勤務している薬剤師の体制
7. 傷病の区分に係る専門性を有する常勤として勤務している薬剤師の体制
8. 傷病の区分に係る専門的な内容の研修の受講
9. 地域の他の薬局に対する傷病の区分に係る専門的な内容の研修の実施
10. 地域の他の医療提供施設に対する傷病の区分に係る医薬品の適正使用に関する情報提供

参考資料
● 患者のための薬局ビジョン ~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域へ」~ 
  平成 27 年 10 月 23 日
● 全国厚生労働関係部局長会議説明資料
 令和2年1月 17 日 ( 金 ) 厚生労働省医薬・生活衛生局
● 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の公布について
 薬生発 0122 第6号令和3年1月 22 日
● 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行について(認定薬局関係)
 薬生発 0129 第6号令和3年1月 29 日

JGAニュースNo159からの転載です