マイナンバーカードは、氏名、住所、生年月日、性別などが記載された、顔写真付きのプラスチック製のカードです。カードのおもて面は顔写真付きの本人確認書類として利用できます。また、ICチップを利用してオンライン上で安全かつ確実に本人であることを証明できるため、デジタル社会に必要なツールとなっています。
マイナンバーカードの基になるマイナンバーは、住民票を持つ日本国内の全住民に付番される12桁の番号です。マイナンバーは、現在、社会保障、税、災害対策の分野のうち、法律または条例で定められた事務手続において使用されています。マイナンバーによって個人の特定を確実かつ迅速に行うことが可能になり、行政手続において、行政機関の間で情報連携することにより必要な添付書類が減るとともに、事務処理もスムーズとなり、国民の利便性が向上します。さらに、必要な方に、必要な行政の支援を迅速に行うことができます。マイナンバー制度は行政の効率化、国民の利便性の向上、公平・公正な社会の実現のための社会基盤となっています。
マイナンバーカードは2016年1月から交付が開始され「、経済財政運営と改革の基本方針2022(以下、骨太方針2022)」(令和4年6月7日閣議決定)の中には、令和4年度(2022年度)末までにマイナンバーカードがほぼ全国民に行き渡ることを目指すとされています。しかしながら、2022年8月末時点でマイナンバーカードの人口に対する交付枚数率は47.4%と滞っており、国や地方自治体はマイナポイントの取得キャンペーンを始めとする様々な普及促進活動に取り組んでいます。
2021年の10月からは付属のICチップを読み取り、健康保険証として利用できるようになりました。「骨太方針2022」では、医療DXと呼ばれる「全国医療情報プラットフォームの創設」、「電子カルテ情報の標準化等」及び「診療報酬改定DX」の取組みを行政と関係業界で進めるといった内容が盛り込まれています。オンライン資格確認を利用したマイナンバーカードの健康保険証利用の推進は「全国医療情報プラットフォームの創設」の一部として、医療・介護分野でのDXを含む技術革新を通じたサービスの効率化・質の向上を図ることを目的に「骨太方針2022」に提言されています。
マイナンバーカードを健康保険証として利用する医療機関側のメリットは、医療機関受付時の負担軽減や多重調剤による過誤の発見、過去の調剤履歴の閲覧などがあります。また、2022年9月11日からは受診歴や診療行為名などの診療情報が閲覧可能となりました。一方、患者さん側のメリットとしては限度額以上の一次支払いが不要になることや転職時の保険証の切り替えが必要なくなること、確定申告が簡単になることなどがあります。また、マイナポータルのサイト上では過去の健診情報や処方薬、手術情報を含む診療情報の確認ができます。
マイナンバーカードを健康保険証として利用をするためには、医療機関がオンライン資格確認システムを導入している必要があります。医療DXの基盤となるオンライン資格確認システムの導入は2023年4月までの原則義務化を進めている最中ということもあり、全国の参加率は28.3%(2022年9月4日時点)に留まっています。令和4年度診療報酬改定ではオンライン資格確認システムの活用により、診断及び治療等の質の向上を図る観点から、「電子的保険医療情報加算」が加わりました。しかし、オンライン資格確認等システムの導入が原則義務化されることを踏まえ「電子的保険医療情報加算」の評価を廃止し、初診時などに患者さんの薬剤情報や特定健診情報等の診療情報を活用して診療等を実施し質の高い医療を提供する体制及び健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認等による患者情報の取得の効率化を考慮した評価体系として「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」が令和4年10月から適用されました。
「骨太の方針2022」には、2024年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入を目指し、さらにオンライン資格確認の導入状況等を踏まえ、保険証の原則廃止を目指す方針を示しています。
<参考>
○総務省:マイナンバー制度とマイナンバーカード
https://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/index.html
○デジタル庁:マイナンバー(個人番号)制度
https://www.digital.go.jp/policies/mynumber/
○「経済財政運営と改革の基本方針2022」(令和4年6月7日閣議決定)
https://www5.cao.go.jp/keizaishimon/kaigi/cabinet/2022/decision0607.html
○厚生労働省:マイナンバーカードの健康保険証利用について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08277.html#Q12
○厚生労働省:オンライン資格確認の都道府県別導入状況について
https://www.mhlw.go.jp/stf/index_14821.html
○厚生労働省:令和4年度診療報酬改定について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00037.html
○厚生労働省:令和4年度診療報酬改定について(10月改訂分)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00041.html
○マイナポータル
https://myna.go.jp/html/hokenshoriyou_top.html
JGAニュースNo174からの転載です