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【Factに迫る!】『人的資本経営』(パート2)について

【Factに迫る!】『人的資本経営』(パート2)について
目次

【Factに迫る!】『人的資本経営』(パート2)について
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FACTに迫る「人的資本経営」(パート2)ー変革の方向性・キャリアディベロップメントー - YouTube

この6月、岸田内閣のもと人的資本に強く関連する「新しい資本主義」が公表されました。前回に続き、5月に発表された経済産業省「人的資本経営の実現に向けた検討会」報告書『人材版伊藤レポート2.0』について紹介いたします。(図1)

今回は『人材版伊藤レポート2.0』の『変革の方向性』と、そのなかで関連する『キャリアディベロップメント』の2つの切り口にて紹介いたします。

 

(図1)著者作図 
引用:経済産業省 令和4年5月 人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~人材版伊藤レポート2.0~

①『人材版伊藤レポート2.0』の『変革の方向性』について

『人材版伊藤レポート2.0』では、企業・個人をとりまく環境が大きく変化を迎えていることを踏まえ、今後のアクションの羅針盤となる『変革の方向性』を示しています(図2)

 

(図2)著者作図
引用:経済産業省 令和4年5月 人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~人材版伊藤レポート2.0~

変化の激しい時代には、これまでの成功体験に囚われることなく、企業も個人も、変化に柔軟に対応し、想定外のショックへの強靱性(レジリエンス)を高めていく変革力が求められています。

この変革の方向性として「人材マネジメントの目的」「アクション」「イニシアチブ」「ベクトル・方向性」「個と組織の関係性」「雇用コミュニティ」にて整理しています。

「人事マネジメントの目的」では、人的資源は管理コストではなく、価値創造、人的資源の活用・成長としています。
「アクション」「イニシアチブ」では、人事部まかせにせず、経営陣の責任の基で、人材戦略・経営戦略として持続的な企業価値向上を目的としています。

「ベクトル・方向性」では、企業は『内向き』でなく、積極的な外向きの情報発信・ステークホルダーとの対話(魅せる化)を促しています。
この内向き是正は、経営学でいう「心理的安全性」の低い組織、つまり風通しの悪いことで起こる、昨今の大手企業の組織的不正行為の隠蔽不祥事による問題にも関連するものと推察します。

「個と組織の関係性」「雇用コミュニティ」では個の自律・活性化にてイノベーションにつなげ、企業も個人も “選び、選ばれる関係” を創ることを促しています。

『人材版伊藤レポート2.0』の更なる概要・詳細は次回以降のコラムにゆずり、今回は「個と組織の関係性」-個の自律・活性化-に関連して『キャリアディベロップメント』として事項で紹介いたします。

②『キャリアディベロップメント』

不確実性の高いVUCA時代のビジネス環境において、ビジネスパーソンがキャリアを形成・開発するには、どのような行動が求められるでしょうか。

昨今のVUCA時代に、キャリアコンサルタントが身に付けるべき理論としてプランド・ハップンスタンス理論やプロティアンキャリア理論等があります。
今回、プランド・ハップンスタンス理論について紹介いたします(図3)

 

(図3)著者作図
引用:オリエント東西の戦略史と現代経営論 守屋淳[著]、三谷宏治[著]日本経済新聞出版

プランド・ハップンスタンス理論は1999年スタンフォード大クランボルツ教授が発表し、
日本語では「計画的偶発性理論」や「計画された偶発性理論」と訳されています。

変化の激しい現代において、キャリアの8割は偶然の出来事によって形成され、偶然の出来事を利用して、キャリア形成に役立てることが大切であるとしています。
実践ポイントとして、次の「5つの行動特性」が挙げられています。

➀好奇心(Curiosity)新しいことに興味を持ち続ける
➁持続性(Persistence)失敗しても諦めずに努力する
③楽観性(Optimism)何ごともポジティブに考える
④柔軟性(Flexibility)こだわりすぎずに柔軟な姿勢をとる
⑤冒険心(Risk Taking)結果がわからなくても挑戦する

特に柔軟性が重要です。個人の専門性を高めるための専門性思考、専門性スキルなどのキャリアアンカーは大切ですが、キャリアアンカーに固執しすぎて柔軟性を失うと、好機を逸するかもしれません。
上記の「5つの行動特性」を踏まえ、偶発性を受け入れると同時に、自ら偶然の出来事を引き寄せるよう働きかけ、積極的にキャリア形成の機会を創ることが肝要です。

そして、プランド・ハップンスタンス理論等により、ビジネスパーソンが個人のキャリアを築く過程で自分らしいキャリアモデルをデザインし、ウェルビーイングに戦略的な未来の価値を創造することができます。

③まとめ

以上のように、キャリアディベロップメント含めた人的資本経営は、VUCA時代の企業・個人にとって、看過できない喫緊のマネジメントです。                                           

医薬品・医療機器企業は今後、キャリアディベロップメントを含めた人的資本経営を実践することで、持続可能(SDGs)な国民皆保険を含めた社会保険制度維持に貢献していくべきと考えます。

 

2022年7月
文責:ニプロ株式会社 学術情報部 山口博人(日本FP協会会員AFP)

参考情報
◯経済産業省 令和4年5月 人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~人材版伊藤レポート2.0~
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinteki_shihon/pdf/report2.0.pdf
◯『人的資本経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220701.html
◯『ウェルビーイング経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220601.html
◯『VUCA時代経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220510.html
◯『パーパス経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220325.html
◯『ESG経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220120.html