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【Factに迫る!】『価値創造経営』について

【Factに迫る!】『価値創造経営』について
目次

【Factに迫る!】『価値創造経営』について
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9月22日、米国のニューヨーク証券取引所(NYSE)での岸田首相の講演、「新しい資本主義」の中で5つの優先課題の第1として「人への投資」を掲げたように、さらに人的資本への取組が注目されています。

投資家が「人への投資」を含めた企業の将来価値を知るためには、決算短信や有価証券報告書に載っている財務情報だけでは不十分です。「人への投資」の取組といった非財務情報を含めて紹介するのが統合報告書です。

今回、統合報告書のIIRC(国際統合報告評議会)のフレームワーク『価値創造プロセス』とそれに関連して『Babyの未来の価値創造』について紹介いたします。

 

(図1)著者作図
引用:人的資本可視化指針 非財務情報可視化研究会、日経ヴェリタス749号758号

①『価値創造プロセス』

IIRC(国際統合報告評議会)のフレームワークでは、人的資本を含む6つの資本とビジネスとの関係性を整理した上で企業価値創造とのつながりを説明することを求めています。

この価値創造プロセスのフレームワークを基に統合報告書を作成している企業も散見されてきました。

価値創造プロセスを人的資本にフォーカスすると、人的資本に関するインプットが事業活動を通じてどのようなアウトプットにつながり、どのようなアウトカム(短・中・長期にわたる影響、成果)につながるのか、他の資本との関係性を含めて統合的に説明していく上で効果的なフレームワークとなっています。

人的資本では企業が従業員のリスキリングを強化すると人的資本の質・量が上がります。さらに、企業価値を高めるためにはどのような人的資本が必要なのかという視点も大切です。

外部環境に関しては世界景気や紛争を認識し、企業が社会課題の解決によって外部環境にどのような影響を与えるかも重要です。
さらに事業活動の過程では、事業リスクや機会にどう備えているか、戦略・資源配分といった様々な要素を総合的に判断するコーポレートガバナンスが必要になります。そして企業のパーパス(存在意義)は組織全体を包括するものです。

企業がパーパスを通して、この価値創造プロセスをストーリーとして統合報告書全体で伝えることが重要です。
価値創造ストーリーが明確で、経営トップの経営哲学・理念に説得力があり、経営課題克服への情熱が感じられる統合報告書であれば、投資家も保有株が下落局面であっても、企業価値を信じて、保有株を持ち続けられるようになるかもしれません。

最近、投資家は「社員がわくわく仕事をしているかどうか」に注目しています。
そのような「働きがい度が高い社員」、『人的資本』が企業の競争力の源泉になるからです。

適正な人事評価や若手社員の成長環境などが「働きがい」に関わります。ある米人材コンサルティングは「日本企業の上位下達の組織風土は自発的努力を抑圧し、エンゲージメントの壁になる」と指摘しています。

また、ネット上では、年功序列や無駄な会議のオンパレードのような古くさい日本企業を、ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー、略して「JTC」と呼んでさげすむ風潮があります。JTCの将来性に見切りを付け、仕事の裁量が大きい外資やベンチャーに転身する若手・ミドル層も増えているようです。

まさに、これからの企業は統合報告書により、「選ばれる企業」になるため、人的資本をはじめ企業の価値創造プロセス・ストーリーをすべてのステークホルダーに「魅せる化」することが喫緊の課題です。

②『Babyの未来の価値創造』

働きながら子育てをする親は、常に時間に追われています。
仕事で成果を上げて、家庭でも最高の親であるためには、時間とエネルギーという貴重な資源を賢く配分することが大切です。

子育ての時間を有意義に使うための方法を紹介いたします。(図2)

 

(図2)著者作図
引用:ハーバードビジネスレビュー2021年6月21日 子育ての時間とエネルギーを賢く使う方法

 

◎親としての貢献度と情熱を明確にする
1、    貢献度:自分がしている活動、タスク、提供しているサポートの種類の中で、子供が
いま、最も大切に思っているものは何か。
2、    情熱:自分がしている活動、タスク、提供しているサポートの種類の中で、親として
自分に最もやる気やインスピレーション、エネルギーを与えるものは何か。

上記の2つの基準をもとに4象限のマトリクスをつくると、子育ての時間の使い方を決めるのに役立てることができます。(図2左上)

◯第1象限:貢献度が高い/情熱が高い
この象限は子育て時間のスイートスポット。ここに含まれる活動は、子供に対する価値を高め、自分に対してはエネルギーを高めます。
子供に関心があることについて自分が貢献でき、かつ情熱を得ることができる活動です。
この活動が親子の絆を深めます。子育ての時間の優先順位第一です。

◯第2象限:貢献度が高い/情熱が低い
この活動は親のエネルギーを消耗させることを子供が必要としているため、やっかいである。解決策は、その活動をやめることではなく、エネルギーへの影響を最小限にするか、助けとなるリソースを見つけることです。
例えば、両親の貢献度と情熱を比較してどちらかが、第1象限に近い活動として実施するか、ヘルパーなどの外部のリソースに任せるのも良いかもしれません。

◯第3象限:貢献度が低い/情熱が高い
子供の興味やニーズは常に変化している。第3象限が親にとって危険なゾーンなのは、子供と関わる活動や趣味を自分は楽しんでいても、子供にとってはそれらの価値が低いことがよくあります。
子供が成長する中で親の貢献をどう考えているのか、定期的に確認することが大切です。
例えば、子供の大切に思っているトップ3を毎年比較し、トップ3が変化することを理解すれば、なにが第3象限でなにが第1象限であるかを確認できます。

◯第4象限:貢献度が低い/情熱が低い
忙しかったり、何でもやろうとしたりすると、価値を高めず情熱も得られない活動に機械的に取り組んでしまうことがあります。
親は習慣や思い込みに陥りやすく、考え直すことなく、ずっとやってきた行動を続けてしまいがちです。
あなたが、第4象限にいるなら、あなたにとっても、あなたの子供にとっても重要ではなくなった、この象限の活動をやめて、貴重な時間を取り戻すことが一番です。

 

◎まずは第1象限の活動ための時間を確保
例えば、カレンダーを使って計画を立て、第1象限の活動にオレンジ色で色分けし、子供と対話を続けながら、予定を確認しあうことが、大切です。
家族で各々の時間(親の時間、子供の時間)を見える化し、子育ての時間が公平に配分されるようにします。
親がいつ家にいるかいないかという不確実性や一貫性のなさを排除することが子供の心理的安全性に寄与します。

そして、子供にとっても親にとっても価値の高い第1象限の活動を回し続けることで子供の未来の価値を創造できます。

我々ビジネスパーソンは仕事でも家庭でも時間とエネルギーの適切なリソース配分(アロケーション)や優先順位付け(プライオリティ)をマネジメントし、子供達の価値の高い活動により価値創造(マーケティング)することができます。
Babyの未来の価値をマーケティングマネジメントによって創造可能です。

③最後に

価値創造プロセスは医薬品企業にとって社会課題を解決するための大変重要なマネジメントです。
医薬品・医療機器企業はこれから、価値創造プロセス・ストーリーを「魅せる化」し、持続可能(SDGs)な国民皆保険を含めた社会保険制度維持に貢献していくべきと考えます。

 

2022年10月
文責:ニプロ株式会社 学術情報部 山口博人(日本FP協会会員AFP)

参考情報
◯内閣官房 人的資本可視化指針
https://www.cas.go.jp/jp/houdou/pdf/20220830shiryou1.pdf
◯『ムーンショット経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/221003.html
◯『人的資本経営(パート3)』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220901.html
◯『人的資本経営(パート2)』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220801.html
◯『人的資本経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220701.html
◯『ウェルビーイング経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220601.html
◯『VUCA時代経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220510.html
◯『パーパス経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220325.html
◯『ESG経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220120.html