【Factに迫る!】『非財務情報可視化』について
※利用ポリシー:本資料の転載・改変は禁止いたします。ご利用の際は、ご所属団体・企業等の規定(社内審査等)に従ってください。
参考:https://www.jga.gr.jp/policy.html
【NEW】本コンテンツの『動画版』も随時公開中! ぜひ、併せてご活用ください。
【Factに迫る!】『非財務情報可視化』について - YouTube
人的資本が注目されるなか、金融庁と東京証券取引所は2023年3月期の有価証券報告書から「人材育成方針」等、人的資本の非財務情報の開示を義務付けました。
今回、非財務情報可視化について紹介いたします。
① 有価証券報告書における非財務情報可視化
2022年政府は、有価証券報告書にサステナビリティ情報の「記載欄」を新設すること、人的資本について、「人材育成方針」、「社内環境整備方針」を開示項目に追加すること、多様性について、「男女間賃金格差」、「女性管理職比率」、「男性育児休業取得率」の3点セットを有価証券報告書の「従業員の状況」の中の開示項目に追加することを示しました。
(図1)著者作図
引用:内閣府 人的資本可視化指針
人材育成方針はいうまでもなく、経営戦略において重要な人材を確保するため、教育研修にあてる費用などが記載されています。
また、社内環境整備方針とは、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方、ダイバーシティ&インクルージョン推進、育児などに配慮した仕事と生活を両立するワークライフバランスの推進等が挙げられます。
「男女間賃金格差」、「女性管理職比率」、「男性育児休業取得率」の3点セットは数字として有価証券報告書に記載されています。当該企業のダイバーシティ度や、これからの企業の成長性に関わる指標ですので、投資家からも注目されています。
しかし、有価証券報告書で開示されている人的資本情報などの非財務情報は、残念ながら、まだまだ充実しているとは言い難い状況です。
これらの指標は、有価証券報告書で簡単に見られる指標ですので、個々のビジネスパーソンも自社や関連する会社の非財務情報を見てみることをお勧めします。
例えば、自分の乗っている船(会社・組織)が、どこに(Where)向かっているのか、なぜ(Why)そこへ向かっているのか、どのように(How)して行くのか、を自分事として考えてみることも大切です。
もしも、沈みゆく船だとしたら、沈まないようにするにはどうするか、また、場合によれば、違う船に乗り換える必要があるかもしれません。
「新しい資本主義」の既寄稿「三位一体の労働市場改革」(2023.10.2)にあるように、生産性の低い企業は市場から退場し、より生産性の高い企業・産業、成長分野への労働移動を促しています。
② 「情報開示書類の位置付け」について
企業は、有価証券報告書に加え、事業報告やコーポレートガバナンス報告書など法令や証券取引所のルールで求められる書類、あるいは統合報告書、サステナビリティレポート、中期経営計画、IRウェブサイト、サステナビリティウェブサイトなど様々な任意の媒体で情報開示に取り組んでいます。
(図2)著者作図
引用:内閣府 人的資本可視化指針
昨今、東証プライム市場の多くの企業が、法定で定められた有価証券報告書以外に統合報告書(図の円形の丸い部分)に注力している傾向にあります。
日本経済新聞社は毎年、日経統合報告書アワードを開催しています。
2022年の実績では387社の企業が参加し、2023年では475社に増え、統合報告書の出来栄えを競争し、企業価値向上に努めています。
各企業の統合報告書には、パーパス、ビジョンに基づいた企業の存在価値、長期の経営戦略、
中期経営計画等の経営戦略などが詰まっており、投資家・株主のみならず、多くのステークホルダーに自社をアピールする資料となっています。
個々のビジネスパーソンも時には、エクセレントなビジネスパーソンを目指して、自身をアピールするためにも、未来のビジョンを踏まえ、3~5年後の個人の未来予想図*を描き、プロティアンキャリア**等を駆使し、更なるライフサイクルマネジメント(LCM)を考察してみてはいかがでしょうか。
*未来予想図:既寄稿『VUCA時代経営』(2022.5.10)「未来予想図」参照
**プロティアンキャリア:既寄稿『サステナビリティ・トランスフォーメーション』(2023.2.1)「キャリアデベロップメント・プロティアンキャリア」参照
③ 最後に
「非財務情報可視化」について、企業の観点からすると、自社の『魅せる化』を意識し、ビジネスモデル「目指す姿」を描き、パーパス、ビジョン、ミッション、バリューのもと、戦略的に人的資本を醸成していく人的資本経営を実践していくことが大切になります。
特に、国民の保険料と税金によって売上収益、利益を得ている製薬業界においては、他業界以上のガバナンス、コンプライアンス遵守が求められています。各企業は「非財務情報可視化」においてガバナンス、コンプライアンスを「見える化」し、経営していくべきと考えます。
これは、企業の存続、企業価値に関わる重要な課題です。
医薬品・医療機器企業はこれから、「非財務情報可視化」を戦略的に活用し、自社を「トランスフォーメーション」し、持続可能(SDGs)な国民皆保険を含めた社会保険制度維持に貢献していくべきと考えます。
文責:ニプロ株式会社 山口博人(日本FP協会会員AFP)
参考情報
◯『2023年ノーベル経済学賞、ノーベル生理学・医学賞』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/231201.html
◯リスキリング(鳥の目、虫の目、魚の目)』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/231101.html
◯『三位一体の労働市場改革』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/231002.html
◯『女性活躍推進』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/230901.html
◯『次世代育成支援対策』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/230801.html
◯『AI戦略』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/230703.html
◯『PBR革命』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/230601.html
◯『日本版ジョブ型』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/230501.html
◯『Society5.0』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/230403.html
◯『ウェルビーイング・マーケティング』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/230301.html
◯『サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/230201.html
◯『インパクト加重会計』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/230105.html
◯『KPI経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/221201.html
◯『価値創造経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/221101.html
◯『ムーンショット経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/221003.html
◯『人的資本経営(パート3)』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220901.html
◯『人的資本経営(パート2)』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220801.html
◯『人的資本経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220701.html
◯『ウェルビーイング経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220601.html
◯『VUCA時代経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220510.html
◯『パーパス経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220325.html
◯『ESG経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/ge/220120.html